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敏洋’s 昭和の恋物語り

狂い人の世界 [第一章:少年A](二) 

2020年04月21日 外部ブログ記事
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神 =ねえ、お前。お前は、どう思うかね? この少年の話を。
少年は、自分は狂人ではないと、言い張るんだが。  
閻魔=申し訳ございません。
わたくしには、はっきりとは分かり兼ねます。
神 =どうしてかね? 
その頭脳明晰さにおいて、右に並ぶ者なしと言われるお前に分からぬとは。

閻魔=とんでもございません。わたくし如きが、そのような。
おからかいになっては困ります。
あのファウストひとり、騙すことが、いえ論破できなかったのでございますから。
神 =あのファウストは、何もかもを知り尽くした人間だ。
さしものお前でも、無理であろうよ。

  深く頭を下げられた閻魔大王に対し、神さまがその肩に手をかけられて慰めておられるようでした。
身体を縮こませながら、何度も何度も頭を下げられています。
時折見せられる苦痛に歪んだお顔が、なんとも痛ましくさえ感じられます。
 
閻魔=ありがとうございます。
   さてさて。
   一体、人間世界には、真実などと言うものがあるのでございましょうか? 
   その時代では正しい事であっても、後の時代になると誤りだとされる事が、多々あるようですし。
神 =なるほど、それも一理あることだな。
   では、お前はどう思うかね?

閻魔=わたくしでございますか? 
   神である貴方さまがご判断に迷われている事に具申するなど、おこがましいことでございます。
   ですが有態に申しまして、永遠の真理などいように思われます。
   人間世界は勿論のこと、恐れ多い事ですが、この天界におきましても。
神 =ほお、この天界にもかね?

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