ほっこり

爺ちゃん婆ちゃんとボクA 

2019年08月13日 ナビトモブログ記事
テーマ:小咄


(昨日の続き)



じいちゃんとばあちゃんは幌のついた軽トラックに塩干物や菓子などを積んで、あちらこちらの街や団地に売りに行っている。それを行商と言うらしい。じいちゃんの車はイリコのにおいがするから、鼻が慣れるまでちょっと臭い。

お盆休みで泊りに来た今日も、あと少しで夕方になるけど、一日はあっという間だな。
近くに田んぼがあって、稲がたくさん、風が吹くと、先っぽが皆なびいている。その上をたくさんのトンボが飛んでいて、捕まえようとしたがだめだった。

ここまで来ても、相変わらずあのうるさいセミの鳴き声が聴こえてくる。

「あ〜暑い!」

畦道を歩きながら田んぼの中を覗き込んで生き物を探してみた。昆虫採集のためにタガメやタイコウチ、ゲンゴロウを見つけたかったけどいなかった。
アメンボとタニシばっかりじゃないか、がっかりした。

家に戻るとばあちゃんが夕飯の支度を始めていた。
玄関先に七輪を出して、豆炭を入れていた。

「ばあちゃん、なんば(何を)作ると?」

「あんたの好きなサンマば焼くと。それから、風呂が沸いとるけん、じいちゃんの後に入りんしゃいね。よかね?婆ちゃん台所に入るけん、ちょっと火ば見とって」

銀玉鉄砲を持って、火がちゃんとおこるのをじっと見ていたら、目の前にアマガエルがあらわれたんだ。
銀玉で撃とうか撃たんどこうか迷ったけど、撃ってしまった。そしたら、死んじゃった。
ばあちゃんに見つからんように穴を掘って埋めた。
「あ〜、かわいそうなことしてもうた」と思ったけど、もう仕方がない。

昼間、昆虫採集セットを出して中身を確かめていた時だったけど、あの透明や黄色い液と注射がセットになってる人気のあれだよ。それを見てばあちゃんが言ったんだ。

「お盆に殺生をしたらあかんよ」
「せっしょう、ってなんごと?」
「殺生は殺すこと。お盆に生き物を殺したら絶対にいかんとよ。バチが当たるけんね!」
「じゃ〜、ばあちゃん、蚊やハエもいかんとね?」
「あれは別たい」
それを聞いてたじいちゃんが「こん子は面白いこと言うの〜」と笑った。何がおかしいのかわからんかった。

だから、カエルさんを殺したことはばあちゃんに内緒にした。あ〜ボクは悪い子や。

サンマが焼けてきていい匂いがする。
うちわで必死になってあおいだ。

パタパタ、ぱたぱた〜気分爽快!

「そげん強くあおいだら火が強くなり過ぎろうが、サンマがこげるばい!」しかられた。

風呂に入って、晩御飯も食べた。テレビで「てなもんや三度笠」見て、「隠密剣士」そして「名犬ラッシー」が終わったら、歯を磨いて寝る時間だ。
明日は何をして遊ぼうかな?少し悩む。

お盆休みの最後にはとうちゃんとかあちゃんがオチビの妹を連れて迎えに来るんだ。
そうすると、夏休みはあっという間に終わってしまう。
宿題の「夏休みの友」はまだ1/3も終わってないし、図工の宿題も作っていない。昆虫採集もできていないぞ。

でも、いいや。

爺ちゃん婆ちゃんといっしょにいる時は幸せだ。


 ・  ・  ・  ・  ・


ここまで読んで頂き有難うございます。夏休みの想い出を「ボク」目線で書いてみました。大人目線の「夏」も書いてみたいとは思いますが、この猛暑が終わってからにしましょうか?そしたら、話題は「秋」になってしまいます。 何事もタイミングが肝心です。


♪奈良公園・鹿さんたちの暑い日・・
https://www.youtube.com/watch?v=Anrj0Jvu068
池に入ったりミストを浴びたり。

秋、「鹿の角切り神事」は素晴らしい行事ですね。
一度、見に行って感激しました。
奈良公園で体中に鹿せんべいくっつけて寝そべったらどうなるでしょうか?
鹿が人を食べてるように見えるのではないでしょうか。
勇気ある人、一度試してください。


★昨日の「爺ちゃん婆ちゃんとボク」に拍手、コメント頂きありがとうございます。祖父母の気配を近くに感じます。戻って来てるのでしょうね。



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