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吾喰楽家の食卓

初めての落語小説 

2019年03月29日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

三遊亭鳳楽師が風流寄席で、古典落語の『百年目』を口演した。
店では律儀な堅物で通っている番頭が、実は大変な遊び人である。
芸者と幇間を連れた花見で、店の旦那に逢ったのが百年目ということだ。
金の出処を疑った旦那は、帳簿を調べても穴が無く、番頭は自腹で遊んでいたと知る。
鳳楽師の口演は、旦那が番頭を諭す場面が見所で、すっきり泣ける落語だった。

『百年目』は、風流寄席では初めてだが、一昨年の秋、国立演芸場の三遊亭鳳楽独演会で見ている。
更に半年前、林家正蔵師が同じ演芸場で、ネタ出しの口演をした。
旦那が番頭、師匠が弟子、親が子など、正蔵師も、目上が目下を諭す場面が得意な噺家である。
十日間の上席公演で、三回も見たほど好きな人情噺だ。
鳳楽師と正蔵師は、それぞれ味わいのある『百年目』を聞かせてくれる。

風流寄席の翌日、墓参りを済ませてから、所用で東京の郊外に住む姪っ子を訪ねた。
帰路は、JR八高線を利用することにした。
一時間に一本しかない、ローカル線だ。
待ち時間があったので、駅前の本屋へ入った。
山本一力著『落語小説集 芝浜』(小学館文庫)が目に入り、衝動買いしてしまった。

収録作品は、『芝浜』、『井戸の茶碗』、『百年目』、『抜け雀』、『中村仲蔵』の五席で、どれも好きな人情噺である。
電車の中で、『百年目』から読み始めたが、落語小説が単なる速記本でないことが分かった。
落語は、日時や固有名詞など細かな情報を、聞き手の想像に委ねる部分が多い。
前夜の『百年目』は、番頭が大金を貯めた方法には触れていないが、落語小説で、それを明確にしてくれた。
想像の世界に嵌まり込む楽しみは無いが、これはこれで面白い本だと思う。

   *****

写真
3月28日(木)の昼餉(手作りの稲荷寿司)と夕餉(鰹のたたき)



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