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吾喰楽家の食卓

『名高大岡越前裁』の千穐楽 

2018年11月27日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

昨日は、国立劇場十一月公演、『名高大岡越前裁』(なもたかしおおおかさばき)の千穐楽を見た。
中村梅玉と中村魁春が、越前夫婦を演じた。
開演が午前十一時と早いので、三日目と同じく、昼餉はサンドイッチとカフェオレを持ち込んだ。
開演前の僅かな時間に、食べてしまった。
客の入りは、七割程だろうか。
尾上菊五郎や中村吉右衛門が、座頭を勤める公演と比べ、少し寂しかった。

毎回のように、千穐楽は、三階の最後列(三等席)で見ている。
他の席に比べ椅子の前後間隔が狭いので、少しでも楽ができるように通路側を選んでいる。
肝心の舞台だが、全体を見渡せるので、一階席とは違った良さがある。
役者の顔をはっきり見たいのであれば、オペラグラスを使えばよい。
ところが、今回、オペラグラスを忘れた。
三日目に続き二回目だからか、無ければ無いで、それほど不便を感じなかった。

この日の三階席は、客が少ない割には、賑やかだった。
掛け声や拍手が、あちこちから聞こえてきた。
主要な出演者が、最初に登場するときは、必ず拍手をする客が居たのだが、これがうるさい。
四幕目で、家臣が越前へ探索結果の報告に登場すると、すかさず拍手をしたので、台詞が聞き難くなった。
その拍手に追随した客は、一人も居なかった。
私を含め、多くの客は、家臣の報告内容が気になっていたのだ。

今月の国立劇場賞は、僧天忠と久保見杢郎を演じた、嵐橘三郎が受賞した。
全くタイプの違う二役を、はっきり区別して演じていたのは流石だ。
受賞に対して異存はないが、この賞の選定基準がよく分からない。
素人の考えだが、芸歴が長い幹部の役者だから、この位は当たり前ではないかとも思う。
私自身は、今月は該当者なしかと予想していた。
市川右團次(天一坊)の息子である、市川右近(大岡一子忠右衛門)が特別賞を受賞したが、彼は子供ながら賞に違わぬ熱演をした。

   *****

写真
11月26日(月)の国立劇場



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パトラッシュさんへ

吾喰楽さん

こんにちは。

花道から出て来て、七三で見得でもするのならともかくです。

「御前様。田口千助、只今戻りましてござりまする。」
「おお、千助か。佐渡の様子はいかがであった。」

見得などする間もなく、火急の報告をしているのです。
その報告の最中、ただ一人、長々と拍手をしている神経を疑いました。
この御婦人、千助を演じた中村松江の大ファンかも知れません。

2018/11/27 12:46:06

やたらと拍手する客は

パトラッシュさん

芝居を、スポーツ観戦と同じように、捉えているのかもしれません。
登場した→拍手
かっこいい→拍手
上手いぞ→拍手
もう、のべつ……です。
中には、三味線が高鳴る最中に……です。(嗚呼)

率直な表意、それも、即時に応ずるのが、
彼らの良しとするところなのでしょう。
感動をしばし、内に秘めつつ……なんてことは、恭謙に過ぎ、
それは時代遅れと、捉えているのかもしれません。

私は、周囲がどうあれ、幕が引かれる時だけに限り、
拍手を贈るようにしております。

2018/11/27 09:38:57

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