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続・旅路の友は 

2018年10月14日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

書いたものを見れば、その人となりが、わかる。
私には無理だが、見る人が見れば、わかるらしい。
そこで「書は人なり」と言うそうだ。

下手な字を、金釘流と称したりする。
私の字が、これだ。
角が立っていて、流麗とはほど遠い。
私は、長く金物店を営んでいて、それは、堅い商売と言われている。
釘にも縁がある。
私の拙字は、だから、職業病だと思っている。

近年とみに、その金釘度が増している。
肉筆の手紙が、苦手となっている。
では、どうするか。
ワープロで打ち、最後の署名だけを、ペンで書く。
これで、恥晒しを逃れている。

それでも時たま、私より酷い悪筆を見る。
下には下が居る。
思わずほっとする。
しかし、俺の方がましだから、では、肉筆で書こうかとはならない。
悪筆は、それを読む方の、苦労が偲ばれる。
相手のためを思えば、やはり、ワープロの方が良いということになる。

世間を騒がせた、逃亡犯が捕まった。
その逃亡中の姿が、テレビに映っている。
案外に、屈託がない。
旅を楽しんでいる風情がある。

彼の書いた、手紙まで、映っていた。
世話になった、施設への礼状と思われる。
酷い字だ。
ミミズが、紙上を、のた打ち回ったような字だ。
どうしたら、あのように、文字が紆余曲折するのかと、首をかしげるような悪筆だ。

「字は人なり」
その通りだ。
逃走犯は、一筋縄で行かない男であろう。
字もまた、特異であり、その性癖を表しているかに見える。

彼に比べたら、私の字はずっと読みやすい。
達筆でないだけだ。
自信を持っていい。
但し、進んで、肉筆の手紙を書くかとなると、それは別の問題だ。
私は、ワープロに慣れ、ペンを手にすると、もう構文もままならなくなっている。

 * * *

逃亡者のリュックサックには「日本一周中」と書かれた、紙が張り付けられていた。
それは、愛媛県庁で作ってもらったらしい。
「要望がありましたので、ラミネート加工し、お渡ししました」
担当部署の責任者らしきが、語っている。

逃走犯とは、気付かなかった。
それは止むを得まい。
職務質問した、警察官だって、気付かなかったくらいだから。
私が気になったのは、インタビューに応じた職員が、終始、敬語を使っていたことだ。

「訪ねてみえまして」
「日本一周をされたいということで」
既にして、相手が逃走犯と知った上で、なおも敬意を失わない。
これを、見上げた公僕精神というのであろうか。
それとも、単に、日頃のくせが、出てしまっているのであろうか。

 * * *

四国から、本州に戻り、彼は捕まった。
山口県の、道の駅において、万引きをやり、捕まった。
逃走資金とてないのだから、食うために、何処かで食料を、調達せねばなるまい。
逮捕現場に至るまでも、さぞ多くの犯行を、重ねたことだろう。

私は、かつて、商店経営者であったこともあり、万引き犯に対し、寛大になれない。
人の物を盗む。
例え少額であっても、それは、盗まれた方には、苦痛になる。

道の駅の警備員、よくやった。
瓢箪から駒……
捕えてみれば、稀代の逃走犯……
お手柄だ。
大阪府警のOB会が提供した、報奨金は、彼ら警備員がもらうべきと思っている。

もしや、OB会は、了見の狭いことを、言うかもしれない。
「逃亡犯としての、情報を寄せたわけではない。たまたま結果が、
そうだったというだけです」
こんなことを、この際、言ってほしくない。
「腐警」などと、揶揄されないためにも、どんと太っ腹を見せた方がいい。

 * * *

逃亡犯も逃亡犯だ。
少し調子に、乗り過ぎたかもしれない。
会う人会う人の、誰にも疑われない。
もう大丈夫だろう。
世の中を、甘く見たかもしれない。

四国に止まっていたら……
まだ、潜伏を続けられたのではないか……
と、これは遍路経験者としての、私の見方である。

かの地では、白衣に菅笠姿の、旅人に対し、多くの人が優しい。
道端で寝ていようと、怪しまない。
以下は想像である。
仮に何処かのスーパーで、万引きをやったとする。
警備員に捕まった。
しかし、そこでは、さめざめと泣けばいい。
「金がなくて、つい、出来心で……」と。

本州では、警察に突き出された。
四国ではどうか……
「仕方ない。今回だけは、見逃してあげるから……」
放免してくれる、可能性だってある。
特に、愛媛県内だ。
私の経験では、四国四県の中で、遍路に対し、最も優しい。
もしかしたら、何がしかの、食料を恵んでくれる、可能性だってある。

彼は、保身を考えたら、四国に止まるべきだった。
しかし、既にして、自信を持っていた。
なあに、見つかるもんか……
その過信が仇になったと思われる。

警察も、似顔絵にばかり、こだわっていた。
筆跡も公開したらよかった。
その字を、一目見た者は、たちまち、その特異性に気付いたであろう。



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そうなんです

パトラッシュさん

澪つくしさん、

問われるべきは、警察の失態です。
それも「大」の付く。

署長も本部長も、責任を取って辞任……
なんてことを、言いだしませんねえ。

犯人は、なかなかに狡猾な人間のようです。
但し、本当に利口なら、こんな脱獄劇はやらず、
早く刑期を終えることを、考えたでしょうけれど……

2018/10/15 20:16:22

やりますねえ

パトラッシュさん

タンポポ@さん、

脱走犯楽しんでいたツーリング

これ、本当にそうですよ。
犯人、すっかりリラックスして、楽しんでいるように見えましたから。

ワープロは、悪筆者の味方です。
もう、習字にいそしむ気持ちも、なくなりました。

2018/10/15 20:11:39

お天道様は見ていましたね!

澪つくしさん

こんな書き方は古臭いですが、やはり「いい気になり過ぎ」て捕まりましたね!

逃走の手口と言い、日本一周自転車旅行を装ったり! オレオレ詐欺の犯人同様、頭を使える人種なのでしょうね!

四国では「お接待」に気を良くして、ちょろいもんだと思った事でしょう!

その辺が今時の若者でしょうね〜!


それにしても・・・
逃げられた警察署の事後のお粗末さ!!
組織の頭の固さが露呈しましたね(-"-;)

2018/10/15 18:33:23

悪筆に心強いワープロ

タンポポ@さん

私も下手くそな字を書きます。ワープロが出た時は小躍りしました。


私も一句

脱走犯楽しんでいたツーリング  タンポポ

↓こんなのもありました。

逃亡者にみんなやさしい愛媛県   夢草

2018/10/15 14:31:03

名句です

パトラッシュさん

お遍路に 思い及ばず 逃亡者

漫歩さん、これ良い句ですよ。
寸言でもって、すべてを表し、
私の長々しい散文より、よほど良いです。

2018/10/14 20:52:43

空海は許さなかった。

漫歩さん

パトさんが「旅路の友は」の初回で富田林署脱走犯と遍路に触れておられたのを読んだ時、その手が彼には絶好の方策ではなかったかと思ったものでした。

幸か不幸か(笑)、彼は遍路というものに知識が無かったのかも知れませんね。

 ー お遍路に 思い及ばず 逃亡者 ー

2018/10/14 15:55:00

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