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そして「モナリザ」 

2018年09月04日 ナビトモブログ記事
テーマ:思い出すままに

パリ滞在中に、いくらバレー鑑賞で満足したとは言え、滞在していたホテルの真正面に鎮座している、ルーブル美術館は、当然はずせない。


その旅行の目的地はニースだったが、行きがけ、記憶に寄ればパリのシャルル・ド・ゴール国際空港で、国内線に乗り換える途中、一時的に空港外の場所を通過した。

私はその機を逃さず、パリ市内の旅行案内所で販売されているという、数日間に限って使える、美術館のフリーチケットを購入した。

これは、大成功であった。


パリに到着したのは、土曜日の夜だったが、ルーブル美術館の休館日は火曜日であった。

月曜日に美術館へ行きたいと思っていたのだが、お陰でチケットに配慮しなくてもよくなった。

フリーチケット持参者は、異なる入り口から入場出来ると聞いていたので、事前にその場所も確認しておいた。


一般入場者は、チケット販売窓口に列を作っていたので、時間的に若干の差が出来るだろう。


私は、入るとすぐモナリザの部屋へ向かった。

20代の頃に一度訪れたことのある、ルーブル美術館だったが、その頃とは、まずモナリザの扱われ方の違いに驚いた。

当時は、他のダヴィンチの絵と一緒に、横並びに陳列されていた。

しかし、今回は(10年くらい前だが)特別室が誂えられており、近くまでは寄れないように、ポールが立っていて、モールで遮られていた。

幸い、まだ殆ど人が居なかったので、真ん前でゆっくりと眺める事はできた。


だが、私の心の中の第一声は、「モナリザって、こんなに小さな絵だったのか・・」

数十年前の印象も、私にとっては余り強力では無かったけれど。

むしろ、横に飾られていた、題名は定かでは無いけれど、サロメの物語を下敷きにした「ヨハネの首」の、青い色彩が目に焼き付いている。


次第に人が増えてきたので、私はヨハネの絵を探しに、場所を移動した。


ダ・ヴィンチの絵画が色々並んでいる部屋で、宗教画を暫く眺めていた。


私の記憶、そのままでは無かったけれど、ヨハネの青にも、数十年ぶりの再開は果たせたし。

もう一度、モナリザにご挨拶してから帰ろうかな、と元の部屋に戻ってみると、既に人々に何重にも囲まれていて、遠くで見る程度で終わってしまった。

私は、日本女性としては、背が高い方なので、混雑するような美術館では、人々の後ろから背を伸ばして眺める、という癖が付いているのだが、さすがにヨーロッパでは人の波に埋もれてしまう。

その後は、地下に並ぶ古代の遺跡の陳列など一通り眺めて、中庭に出た。


ベンチに座って一息ついた後、携帯を開けて見ると、その夜一緒に食事をする予定のアンドレアさんから、メールが届いていた。


「今晩○○教会で、ショパンプログラムのピアノリサイタルがあります。

もし行く気があれば、チケットを手配します」


そのコンサートのチラシも、パリを歩いていて見かけたものだった。


私はパリに居ながら、知人からメールを受け取る非日常性にも、ちょっとわくわくした。

アンドレアさんは、数日前までニースの大会に、私と同様、同伴者として滞在していたお仲間の一人だ。


会場へ向かいながら、

「私はウィーンに留学して居た頃、教会でオルガン演奏はよく聴いたけど、ピアノのコンサートには行ったことが無いわ」というと、アンドレアさんは

「だって、パリには夏だけでも100万人位観光客が来るのよ。その人達の為にコンサートを開くには、教会は会場として最適なのよ。

それに、教会だってやはり収入は必要な訳だし・・」


因みに、アンドレアさんはパリの教会で、合唱指揮の活動をしている音楽家である。


思いがけず、パリの受け入れサイドの視点のお話も聞けて、その日は実に贅沢な一日であった。



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