メニュー

最新の記事

一覧を見る>>

テーマ

カレンダー

月別

パトラッシュが駆ける!

よくやった ! 

2018年08月25日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

久しぶりに、高校野球を見た。
もちろん、テレビである。
見るつもりは、なかったのだが、私の個人的事情から、
見ないわけに行かなくなった。

私は、実は、野球より、サッカーの方が好きだ。
野球とサッカーのテレビ中継が、同時刻に行われるとしたら、
迷わずサッカーを選ぶ。
常日頃、迷い多き人間であり、例えば、外出時の昼食を、
蕎麦にするか、寿司にするかで、大いに悩み、
店の前に来て、なおも考えている、この男が、
ことこの問題になると、やけに決然としている。
これつまり、蕎麦と寿司とでは、私の嗜好に差がなく、
野球とサッカーの間には、それが少々、あるということになる。

私は、自分の出身校が、そうであったものだから、
公立校が好きだ。
東京人であるのに、東京のチームを、
応援することが少ないのは、ここに原因がある。
代表校は、大体において、私立であり、
その多くは付属校であったりする。

彼らは、学区と言うものにとらわれず、広い範囲から、
生徒を集められる。
部の予算も潤沢だ。
そして何より、付属校であれば、受験の憂いがない。
安心して、部活に励むことが出来る。
これでは、公立勢は敵わない。
予選を勝ち抜くのは、難しいことになっている。

東京では過去に、都立校から、甲子園に行ったのが、
三校ある。
というより、たったの三校しかない。
だからそれは「都立の星」と呼ばれる。
その一つが、国立(くにたち)高校であり、それはもう、
三十八年も前のことだ。
東大への合格者を、少なからず出す、進学校として、
知られている。
作家の山口瞳さんが、熱烈に応援していたことでも、
知られていた。
しかし、結果は……
和歌山の箕島高校と対戦し、0:5の、初戦敗退である。
甲子園に出場出来たことを、これ幸いと、思うべきなのであろう。

県立でもいい。
縁もゆかりもない、地方の学校でいい。
応援するなら、名もない公立校。
私は、サッカーでも野球でも、そういうスタンスが、
身に付いている。

今回の甲子園では、それが八校あった。
五十八校中の、八校である。
いかにも少ない。
多分、彼らは、一二回戦で、姿を消すだろう。
と思えば、テレビ中継を見る気も、起きないでいた。

そんな中で、気付いたら、準々決勝まで進んでいた、
公立校がある。
よくやった。
しかし、ここらが、いいところだろう。
と思っていたら、それにも勝ち、準決勝へと進出してしまった。

今度こそ、相手が悪い。
激戦の西東京大会を制した、日大三高である。
ここで力尽きるであろう……と私は思っていた。
そうしたら、あに図らんや、これも接戦の末に、
降してしまった。
えらいこっちゃ、決勝進出だ。
これを見ないわけには、行かなくなった。

 * * *

高校の序列を、半ば揶揄を込め「普工商農」と言うらしい。
偏差値というものが、そういう順に、なっているらしい。
農業をやるのに、教養は要らない。
商人なんか、バカでいい。
と言われているようで、私は、
自分が普通科であったにも拘らず、いい気持がしない。

知性や教養が、生きて行くために、必要かどうか……
ということになれば、そりゃ、なくてもいい。
学問なんぞ、無用の長物かもしれない。
しかし、人間は、食うためだけに、生きているのではない。

私は高校の、数学?において、微分積分を学んだ。
その後の人生において、これを援用したことはない。
数式すらも、忘れてしまっている。
しかしながら、旅に出て、列車が鉄橋を渡る時、
眼下の川を眺めつつ、この川の水深を探るには、
微積を用いれば、簡単なのだなと、思い出すことがある。

考えてみれば、私は、人生を行きて行くのに、
必要のないことばかり、習って来た。
無用の長物の残骸が、びっしりと、この身を覆っている。
しかしながら、良くも悪くも、それらを包括したものが、
私自身なのではないか。
無用の長物もまた、私自身の、皮膚くらいは形成している。
と考えるべきであろう。

江戸時代の身分制度は「士農工商」であった。
「士」が最上位に来るのは、封建制の世の中で、
やむを得ないとしても「農」が尊ばれているのは、
良いことだ。
私もまた、農業こそが、国の基幹だと思っている。
もっと、敬意が払われるべきだ。
「農」そして「商」の生徒の皆さん、自信を持ち、
大いに頑張って下さいと、こう言いたくなる。

 * * *

八月二十一日、火曜日。
私が、午後の早い時間を、テレビの前で過ごすなど、
異例中の異例ということになる。
では、その時間、何か、事を為しているかと問われれば、
お恥ずかしい。
囲碁サロンに、客が居ないをこれ幸い、
衝立の陰の木製ベッドで、午睡の夢を結んでいる。
それは、ろくでもない、そして時に、
いかがわしい夢であったりする。

高校野球の決勝戦を見た。
秋田県立金足農業高校VS.大阪桐蔭高校の対戦であった。
「金足は、負けるだろう」
試合前から、私は予想していた。
観念あるいは、諦念と言ってもいい。

主戦投手の連投のこともある。
しかし、それ以上に大きいのは、チームを取り巻く、
環境の変化だ。
既にして、金足農業高校は、地方の一高校でなくなっている。
衆望を、集め過ぎてしまっている。
スポーツ新聞ばかりでなく、一般紙の一面にも、
こぞって登場させられている。
そこには「公立校」「農業高校」「雑草魂」などの見出しが、
大きく躍っている。
臨時の航空便を出すなど、秋田県は、全県こぞって、
応援しているらしい。

こうなったら、もうダメだろう。
私は、ある歴史上の人物に、彼らを重ねている。
草莽から出で、度重なる戦いに勝ち、上洛するまでに至った。
天下を掌握する、一歩手前のところまでは来た。
しかし、その寸前に、潰えることとなった。
「皮肉」……これこそが、歴史を読み解く際の、
キーワードである。

彼ら高校生とて「天下」を前にしては、欲も出るであろう。
かつてのように、とても、無心には、戦えないであろう。
無理もない。
人間とは、欲が衣を着ているような動物だ。

そこに火を点けた、メディアが悪い。
もてはやした、世間も悪い。
そして、衆望の一端に加わった、私も悪い。

いっそのこと、Jリーグの試合と、重なってくれたらよかった。
私がテレビを見なければ、もう少し、
接戦になったのではあるまいか。
国民の多くが、騒ぎ立てなかったら……
金足農業高校も、旭将軍木曽義仲も、
違う結果を手に入れたのではないか。
なんてことを、私は、午睡の夢の中で、思っている。



拍手する


コメントをするにはログインが必要です

野球より

パトラッシュさん

みさきさん、
北信における、野球の名門校と言えば……
先ず、松商学園でしょうか。
それに丸子実業、佐久長聖など……
でも、そのいずれでも、ないようですね、みさきさんの母校は。
いえ、いいのです。
詮索するつもりはありませんから。

信州人は、運動よりも、頭脳で勝負……
という印象が、私達部外者の中にあります。

2018/08/25 15:14:40

「皆まで言うな、説明するな」

パトラッシュさん

シシーマニアさん、
上記は、詩歌を作る際の、心得とされています。
全部説明すると、途端につまらなくなる。
これは、散文でも同じです。

それで、わざと人名や地名、校名などの固有名詞を省き、読者に想像してもらう手法を取るのです。
しかし、すべての人が、想像可能かどうかとなると、現実に、シシーマニアさんのように、人物や事象に、たどり着けない方もいらっしゃるわけで、問題があります。

その辺の兼ね合いを、何処に置くか、私の課題であると、受け止めております。

私の読者は、多分、このくらいの世俗には、通じているはず……と思いつつ、私は、世俗から遠い読者に対しても、これを切り捨てたりはしません。
それどころか、世俗を超越したその姿勢に、一種の清々しさを感じ、それは、尊敬に値するものだと思っておりますから……

2018/08/25 14:54:47

インターネットで

みさきさん

テレビ中継はないのですが、見たい試合はちょっと夜更かししてインターネットで見ていました。高校時代は、必ず自校の応援に行っていましたので、見始めると、ついつい、夢中になってしまいます。平成の球児は、笑顔で余裕を見せて、凄いなぁと思いました。
母校(公立)は、100年の間に2回だけ、甲子園に行きました。もし、生きているうちに3回目があったら、1回戦から駆け付けたいかも。わが故郷は、1回戦突破が難しいのですから。

2018/08/25 14:40:52

小説に

パトラッシュさん

彩々さん、
若き日の貴女に、高校球児の彼がいたとは……
そりゃ、さぞモテたであろう、貴女のことですから、不思議はないのですが……
その一部始終を、小説にお書きなったら、いかがでしょうか?
もう何を書いたって、責める人は居ないと思いますよ……
それにしても、あの輝星君に似てるとは……

2018/08/25 14:32:09

そういえば

パトラッシュさん

タンポポ@さん、
甲子園のお近くだったのですね。
(タンポポさん=淡路島というイメージが強いものですから)
周辺はさぞ、にぎわっていたことでしょう。
今は「戦い済んで日が暮れて」といった、一種の虚脱状態にあるのでしょうか……
あ、タイガースが戻って来ましたね。

2018/08/25 14:23:18

テレビをみないと

シシーマニアさん

先週の「顔」も、どうやら周知されている人らしい様子はわかりましたが、一応LINEのお仲間にお訊きしてみました。

今週は、今年の優勝校の事なのかな、と思い始めて読みました。

私の様な、「周知」の外に居る者にとっても、さすが師匠の文章は、読み始めると引き込まれます。


私位のシニアになると、世間を知らないことも、まぁ開き直れますが、子供達が小さかった頃は、それなりの残念さに色々出会ったのだろうな、とつくづく思いました。

2018/08/25 14:21:49

記憶に残る大会になりました

パトラッシュさん

澪つくしさん、
運動なら、万能ではないのですか。
澪さんも、ソフトボールのピッチャーをやっていそうな感じです。

今年の夏の甲子園は、見ごたえがありました。
これも偏に、金足農業によるところが、大きいです。

2018/08/25 14:18:14

冷静な分析です

パトラッシュさん

漫歩さん、
その分析は、正しいでしょうね。
「運」とか「勢い」とかは、特にトーナメントにおいては、重要な要素ですから。

昔の高校球児でしたか、漫歩さんは。
ポジションは、ピッチャー……
違いますか?

2018/08/25 14:14:25

いえいえ

パトラッシュさん

Babanさん、
大阪桐蔭が、阪神タイガースをも負かすって……
それは、ジョークですよ。
このところ、不甲斐ない、タイガースの成績に、業を煮やしての、ファンの自虐が、そう言わしめているのです。

農家の子は、食いはぐれがない……
戦後の食糧難の時期には、確かに、それは、大いなるアドバンテージでした。
現代の都市化の進んだ地域では、かつての農家が、土地を持ち、賃貸に回すなどして、確かに裕福でしょう。
しかし、純農村地帯での情況は違います。
「棄農」が進み、農業に従事する人口の減少に、歯止めがかかりません。
農業就業人口は1985年には542万人いましたが、30年間で6割減り、200万人割れが目前に迫っています。年齢別の内訳でも65歳以上が64%を占める一方、39歳以下は7%もいません。

この先、この国の農業は、どうなってしまうのでしょう。
私が、農業高校の生徒を応援したくなるのは、このような背景があるからです。

2018/08/25 14:08:28

また一つ終わりました

彩々さん

暑くて熱い、夏が終わりましたね。

気持ちの良い青年たち、特に準優勝となった
秋田県立金足農業高校の選手たちを応援
していて、昭和の匂いがする球児たちだと
懐かしく、胸を熱くして観ていました。

私は、一年先輩の野球少年と文通していた
時期があり、彼は高校の県大会で甲子園で
ホームランを打ち、新聞に掲載されました。
ピッチャーの輝星君に似ていました。

遥か昔の初恋の思い出が蘇り、何だか得をした
気分でTV観戦し、私70歳の夏が終わりました。

2018/08/25 13:31:48

高校野球

タンポポ@さん

こんにちは。
地元甲子園近辺は、毎日賑わっていました。
リハビリに行く病院の前の道を、応援団のバスが走ります。そして南の方で降りた応援団が通ります。
ただただ、みんなガンバレと言う思いで、眺めていました。

2018/08/25 11:51:29

昔から

澪つくしさん

プロ野球には、全然興味が無くて・・・

でも何故か、高校野球だけは見てきました。

真夏の灼熱の中の、あの青春真っ只中のキラキラ感
は何とも言えません♪

今年も秋田・金足農高のスーパーヒーローの
お蔭で、愉しませてもらいました。

残念ながら決勝戦は仕事で観戦ならずでしたが、

「よく頑張ったね!」と、久々感動の夏でした。

2018/08/25 11:22:25

メディアの煽り

漫歩さん

出ると負けの公立高校の野球部出身者として心から祝福します。

金足農高は鍛えられたよいチームでした。吉田君は好投手でした。

ところで、
そのことを認めたうえで、敢て辛口を言えば、今回の準優勝は、個々の選手の実力で掴んだものではなく、思いがけないきっかけから流れ(運)の勢いに乗っての結果だったと思います。
トーナメント方式ではよくあることです。

ですから、選手たちは、
メディアの煽りや、地元の素朴な期待を冷静に受けとめて、自分たちをの力量と進路を考えて貰いたいと願っています。

その点で吉田君のの動向を注目しています。

2018/08/25 10:36:57

いえいえ

さん

決勝にくるまでの試合が凄かったのです。
私は、40年ぶりに高校野球をみましたよ。

決勝は、やる前から、皆、金農の負けを知っていたのです。大阪桐蔭は、阪神も負けるそうなので。
 それでも、金足を応援したのです。

 あそこには、教育の原点、高校野球の原点があります。
 文科省も金足を見習ってほしいもんです。

 ちなみに、農業高校には、農業後継者の子が多く、くいっぱぐれない子が多いです。

2018/08/25 10:30:39

PR







上部へ