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敏洋’s 昭和の恋物語り

ごめんね…… (十七) 

2018年04月17日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 中学時代、虚無感に襲われていたぼくでした。
父親の浮気問題で家庭が壊れちゃっててね。
食卓にね、何日も帰ってこない父さんの分まで用意する母さんなんだ。

 そして毎晩、ぼくに「お父さんはね、あなたを捨てたの」って、言うんだ。
「悪い子だから、帰って来ないのよ」って言うんだ。
毎晩毎晩、言われ続けたんだ。
多分そう思うことで、母さん、自分を慰めてたんだろうね。

 でね、ベッドに入るとね、もう一人のぼくが言うんだ。
「お前は父さんだけじゃなくて、母さんにも捨てられたんだ。
悪い子は、みんなに捨てられるんだ」

 何もかもが灰色に見えて、信じられるものが無くて…。いやそうじゃない。
灰色とか何色とか、そんな色すら感じていなかった。
そんなぼくだった。
 体調を崩して給食を嘔吐してしまったぼくのことを、席が隣り合わせたというだけで、君は介抱してくれた。
嬉しかった、ほんとに。
君だけは信じられる、そう思ったんだ。

 他人との交わりを煩わしいものとして敬遠してきたぼくだけど、君だけは唯一心を許せると思ったんだ。
 で、君との友情を揺るぎないものにするために、へび女救出大作戦を考えたんだ。

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