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2018年04月14日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

誰も来ない。
貼り紙を出したというのに、応募者はおろか、
問い合わせすらない。
昨今の将棋ブーム、あれは一体、何なのか……
ブームなんてものは、所詮、うたかたの夢なのか……
拍子抜けしている。
失望もしている。
しかし、この事態を、まったく予想できなかった、
訳でもない。

囲碁将棋ほど、長く、この国の人々に、愛されたゲームはない。
盤を挟み、二人が対峙するなど、共通点はあるものの、
ゲームの内容は、両者もちろん違う。
それに応じ、愛好者の性格も、少し違うようだ。
囲碁は感性、将棋は論理……と言われている。
もちろん、どちらか一辺倒というわけではなく、
その比重が高いということだ。

囲碁将棋、どちらにも、多くのファンが居て、
それぞれに、楽しんでおられる。
その人口比はわからないが、大方、同じようなものでは、
ないだろうか。
古来「囲碁は上流階級、将棋は庶民のもの」と言われていた。
囲碁は、宮中でも行われ、紫式部や、清少納言なども、
愛好したと伝えられる。
実際に、彼女らは、強かったらしい。
一方で「縁台将棋」という言葉があるように、
将棋は、市井の人々により、愛された。

今は、そんな差もない。
どちらのファンも、各界、各層に渡っている。
現代社会では、身分や階級が、劃然としなくなった、
ということもあるであろう。

一つだけ、その差が、はっきりしていることがある。
囲碁ファン、将棋ファンの、気質の差である。
但しこれは、私の属する、狭い領域において……
と言わねばならない。
私が広く、実態を探ったわけではない。
あくまで、私の体験内のことである。

 * * *

私は、囲碁サロンを経営する傍ら、週に一回、
近くの小学校に、通っている。
クラブ活動で、生徒らに、囲碁将棋を、教えている。
教室には、毎回、四十人近くの、生徒が集まる。
同僚が何人か居て、手分けして、
彼らの指導に当たっている。

大変に忙しい。
時には、二人、三人を同時に相手とし、指導対局をやる。
生徒が三十人に、先生が三人。
もう少し、人員が欲しいと、常に思っている。
それが、将棋部門である。

一方で、囲碁部門の先生は、悠然としている。
生徒が六人、先生が四人。
じっくりと教えることが出来る。

私は元々、囲碁部門の担当であった。
しかし、将棋の方の先生が足らない。
そこで、応援を買って出て、そのまま、将棋畑に、
居ついてしまった。
これは、これでいい。
囲碁は四段、将棋は初段、若い頃、
二股かけてやって来たことが、ここにおいて役立っている。

三月の年度末を以って、将棋の先生の一人が、
リタイアされた。
「八十になりました。もう、この辺が汐時です」
と仰られては、慰留するわけにも行かない。

藤井効果というやつで、将棋部門への新入部員が、
増え続けている。
新一年生の中からも、入部希望者が出るであろう。
二人でもって、三十数人を相手にする。
考えただけで、頭が痛い。

 * * *

「ボランティア募集」
囲碁サロンのガラスに、貼り紙を出した。
「将棋の指せる方」
と書いてはみたが、仕事を持っている人には、難しかろう。
そこで、横に「平日昼間、週一回」と書いた。
リタイアした年配者を、ターゲットにするためだ。

「報酬はありません」と書こうとして、考えた。
ボランティアとは、そもそもが、善意、無給の意味だ。
ちょっと、ひねった方が良い。
「報酬:子供達の笑顔」と書いた。
無給を逆手に取ったつもりだ。
さらに書いた。
「やってみませんか? 一文の得にも、ならないことを」
これも、逆説のつもり。
まともに行ったのでは、訴求力に欠ける。
これで相手の、心理の“つぼ”を、突いてやろうと思った。

張り出して、一週間、何の反応もない。
二週間……同じ。
三週間……何事も起きない。
そしてそろそろ、一ヶ月……
私はもう、貼り紙を、破り捨てようかと思っている。

 * * *

十年前,私は、生徒の母親からの、依頼を受け、
初めてT小学校へと行った。
その名をKさん。
彼女は、発足したばかりの、囲碁将棋部の、
環境を整えるために、奔走しておられた。
それもそのはず、学校は、教室を貸してくれるだけ、
部の運営にはタッチしない。
あくまで、父兄の自主運営ということになっている。

その時に、Kさんから言われた。
「囲碁の先生は、見つかるんです」
現に、この私も、その一人だ。
私は、頼まれるや否や、すぐに応諾した。
むしろ、こういう機会を、待っていたと言っていい。

「将棋の先生が、一向に見つかりません」
仕方ないので、将棋連盟に事情を話し、
準プロ棋士を派遣してもらうことになった。
いわゆる、レッスンプロである。
プロだけあり、彼は強かったのだが、一人の力には、
限界もある。
大勢の生徒の面倒を、見切れるものではない。
見るに見かねて、私が、手伝うようになった。

当時、Kさんの言った言葉を、今も覚えている。
「囲碁の先生方の方が、ボランティア精神に、
富んでおられるようです」
その点、将棋の方々は、だめです……とは言わない。
彼女は、利口な人だ。
「将棋の人達は、ご自分が楽しむことに、
忙しいんでしょうね、きっと」
当たり障りのない感想を言った。

しかし、当っている。
今も、指導者不足は続いている。
たまに、新人が来ても、長続きしない。
一回こっきり、と言う例もある。
つまり、下見に来たのだろう、彼は。
そして、二度と現れないのは、自分の描いていた教師像とは、
違うからであろう、その任務が。

どうしてだろう……
この謎は、未だに解けない。
貼り紙を出してみて、その謎は、さらに深まった。
私の関係する、狭い範囲だけのことか……
それとも、広く将棋界に、通底する気風であるのか……
問題はここにある。

こうなったら、意地でも貼り紙を、外さないでおこうか……
それどころか、貼り紙する拠点を、人に頼んで増やそうか……
なんてことも、今、考えている。



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藤井効果はまだまだ続きそうです

パトラッシュさん

みさきさん、
本日、貼り紙をはがしました.
他の線から、応募者があり、目処が付いたとの、連絡があったためです。

私の貼り紙は、結局、役立ちませんでした。(泣)

「指導者養成所」
この方が、よろしいかもしれませんね。
要は、その人の、義侠心を、くすぐってやることだと思いますから。

2018/04/14 17:24:10

両刀使い

パトラッシュさん

moritoさんは、
私の知る棋友達とは、ちょっと違うようですね。

「将棋に負けた方が、悔しい」という人が多いです。
王様を詰まされる、つまり、討ち死になるからでしょうか……
そこへ行くと、囲碁の方は、負けるにしても、そこに至るまで、劣勢であることが、わかっていますから、そして、「地を作る」過程があり、
時間をかけて、負けを納得させることが、出来るから……
かもしれません。
まあ、それも、人それぞれでしょうけれど。

囲碁将棋の「両刀使い」は、そこそこいます。
私もその一人。
ついでに、左党でもあり、一方で、饅頭も好きです。
「女性も男性も……」
いや、これだけは、両刀ではありません。

2018/04/14 17:16:46

看板

みさきさん

藤井聡太さん、中々、魅力的な若者です。小学生でも、憧れるかもしれませんね。そんな子供達の夢を応援できる、心のゆとりのあるボランティアさんが、早く、名乗り出てくれると良いですね。

いっそ、囲碁サロンに、「ボランティア指導者養成所」の看板も掲げていただくわけには参りませんか?

2018/04/14 12:40:06

囲碁、将棋

さん

へぼ将棋王より飛車をかわいがりと!
縁台将棋も好きです、

囲碁は大学時代にサークルに入って
覚えました、未だざる碁です。

将棋は負けてもさして悔しくないのですが、
囲碁は負けると悔しくてなりません。

藤井6段の将棋は最後の詰めが素晴らしいですね、

井山裕太七冠は素晴らしいですね、
日曜日のNHK杯は必ず録画して一杯飲りながら楽しんでいます。

2018/04/14 10:01:30

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