メニュー

最新の記事

一覧を見る>>

テーマ

カレンダー

月別

吾喰楽家の食卓

『初演の会』の一日 

2017年03月29日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

昼餉は阿佐ヶ谷で蕎麦を食べたくて、時間を合わせて家を出た。
もり蕎麦、野菜のかき揚げ、生ビールを頼んだ。
色々試したが、この組み合わせが、一番気に入っている。
カウンター席に座ると、右隣の若い女性が、全く同じ組み合わせを食べていた。
雨降りの昼間からビールを飲むのを見て、「お主、出来るな!」と、心の中で呟いた。
席からは調理場が覗け、もり蕎麦、かけ蕎麦、セット蕎麦の順に、蕎麦の量を減らしたメモ書きが見えた。
献立により、蕎麦の重量を変えるのに驚いた。

満腹になったところで、古書店に寄り、歌舞伎と落語の本を一冊ずつ買った。
兄の好物である、手づくりのパンを土産に買い、雨が降る中を生家へ急いだ。
生家に着くと、『初演の会』に不要な本や着替えなどを、リュックサックから抜き、荷物を軽くした。
一休みしてから、『西荻mini囲碁サロン』へ向かった。
阿佐ヶ谷から西荻窪までは、JRで二駅だ。
今回の『初演の会』は、パトラッシュさんもご一緒する。
サロンでは、炬燵で獺祭を御馳走になりながら、一時間ほどお喋りをした。

『初演の会』の会場である落語協会へは、開場の二十分前に着いた。
相変わらず雨は降っていたが、時間調整に湯島天神へ行くことにした。
生憎の天気で、参拝客は少ない。
お参りだけし、落語協会に戻ると、程なく開場した。
今月の三題噺の当番は、林家はな平さんで、お題は、暗殺、真打襲名、師弟愛である。
古典落語の『寝床』や『青菜』を取り入れた、吹き寄せ風の一種のパロディーと云える、新作落語に仕上がっていた。
素人落語を題材にしたストーリーで、何度か口演すれば更に良い新作落語になると思う。

続いて、古今亭菊生師は、古典落語の『壺算』を口演した。
真打だけのことはあり、初演とはいえ中々の出来だった。
鈴々舎馬桜師は、新作落語の『歯ンデレラ』を口演した。
馬桜師の新作落語を初めて聴いたが、寄席では、結構、口演しているらしい。
今回の噺は短いので、寄席に向いた噺らしい。
先に口演したお二方は、持ち時間を残したようで、時間調整のためにマクラをたっぷり遣ってくれた。
初演だと、どうしてもペースが速くなりがちらしい。

この会のトリは、三題噺の当番が務めることになっている。
はな平さんが、この日、二度目の高座に上がった。
古典落語の大ネタである、『火焔太鼓』を熱演した。
ところが、馬桜師は、「かみさんの態度を、太鼓が売れる前後で変えた方が良い」と、事後にアドバイスしたそうだ。
後半の口調を柔らかにした方が、ほんのりとした噺にまとまるという。
二ツ目の初演だから、やむを得ないのだろう。
流石にベテラン真打の感想は違う。

打ち上げは、いつものように盛り上がった。
男性四名、女性七名、噺家さん三名、合計十四人が参加した。
いつもの店が休みで、違う店になった。
三つのテーブルに分かれて座り、噺家さんは、それぞれのテーブルに着いた。
私のテーブルには、菊生師、パトラッシュさん、東高円寺の男性が座った。
師匠は、一見、豪快そうに見えるが、中々の気配りの人である。
初参加のパトラッシュさんにも、楽しんで頂けたようだ。

お開きは、十時を過ぎた。
阿佐ヶ谷に着いたら、十一時である。
生家のカギは持っているので、遅くなりついでに寄り道をした。
長丁場だが酒量は少なかったので、前から気になっていたバーに寄ることにした。
原則、お一人様の店で、マスターが一人で遣っている、カウンターだけの小さな店だ。
この日の酒は、阿佐ヶ谷から始まり、阿佐ヶ谷で終わった。
十二時間にわたり四ヶ所で飲んだが、充実した一日になった。

   *****

写真
3月26日(日):飲み始め(12:00)・飲み終わり(24:00)



拍手する


コメントをするにはログインが必要です

PR





上部へ