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吾喰楽家の食卓

歌丸に明け暮れた日 

2016年08月15日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

私は、気が利くタイプの男ではない。
それでいて、変に察しの良い所がある。
今年の『新春名人会』のことだ。
国立演芸場のスタッフが、玄関前で薦被りの樽酒を動かしていた。
鏡開きの準備をしているのだろうと思った。
他の客で気が付いた者は、一人も居なかった。
程なく、周囲は客で溢れ返った。
最前列ど真ん中で、林家たい平による鏡開きを見物できた。
勿論、振る舞い酒は、並ぶこと無くゲットした。

8月中席の初日、桂歌丸の『江島屋怪談』の熱演を観た日のことだ。
幕が下り、噺の余韻に浸りながらロビーに出たとき、五、六人の人が、我々とは反対方向へ小走りで向かっていた。
その中に、カメラを持った人がいた。
直ぐに、歌丸の高座復帰を取材に来た、報道陣だと気が付いた。
その後の事態は想像できたが、空腹に勝てなかった。
待つことなく、急ぎ足で半蔵門駅へ向かった。
すると、アンテナを高く伸ばした、テレビ局の車が路上駐車していた。
テレビ中継を、するらしい。
それに構わず、お目当ての店へ急いだ。

お目当ての店は休みだったので、池袋で何か食べることにした。
ところが、池袋に着くと、間に合わないと思っていた快速電車に乗れるので、何も食べずに帰路に就いた。
一人で落語や歌舞伎を観に行った日は、何も食べずに帰宅することが多い。
ところが、この日は違った。
昼餉が午前10時だったので、午後6時半ともなると腹が減って堪らない。
地元駅前の蕎麦屋に入った。
カウンター席に座り、顔を上げると、数時間前に観た座談の様子が目に飛び込んで来た。
そして、楽屋口で報道陣の囲み取材に応じている、浴衣姿の歌丸にテレビ画面は替わった。
この日は、歌丸に明け、歌丸に暮れた一日だった。

   *****

写真
8月11日(木)、テレビ中継車と夕餉



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彩々さんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

私は、腹が空いて来るとイライラするタイプです。
もっとも、少し我慢をすると、治まりますが。
現役時代、仕事の都合で夕飯を食べられないことが、たまにありました。
我慢し過ぎると、食べたくなくなります。
そういう時は、水を飲んで寝てしまいます。

2016/08/15 08:38:38

落語に恋しても

彩々さん

空腹には勝てませんか!?

ゴクさんらしいと、PCの前で一人笑っちゃいました。

お暑い中、遠路はるばるお出かけされる吾喰楽さんに
頭が下がります。
しかし、なるほど恋は盲目とも申します。
好きなことに熱中するのも、元気薬になっている
のでしょう!

2016/08/15 08:24:38

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