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吾喰楽家の食卓

期待を超えた中席 

2016年06月15日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

今回の中席が気乗りしなかった理由は、雨だけではない。
六月が物入りなのは、事前に分かっていた。
ところが、銀座風流寄席と国立劇場の『魚屋宗五郎』は、どうしても観たい。
懐を考えると、国立演芸場を我慢するしかなかった。
それでも、一回くらいは観たいので、料金が高い名人会と特別企画公演を諦め、安い中席を選んだ。
ところが、中席にお目当ての噺家がいなかった。

流石に、中央ブロックは埋まっていたが、左右に空席が目立った。
五割程度の入りだ。
それでも、小人数ではあるが、団体客が来ているようで、場内は活気があった。
客は、珍しい年齢構成だった。
私と同年代か年上の方が、六割ほどを占めている。
中間層が少なく、残りは未成年を含む若者だ。

国立演芸場の場合、身分に応じて持ち時間が決まっている。
原則、前座・二ツ目・色物は15分、真打は20分、中トリは25分、トリは30分である。
今回、前座と二ツ目は、若手としては上々の噺を聴かせてくれた。
経験を重ねることで、味が加わり、良い噺家になると思う。
真打一番手の三遊亭柳好は、お馴染みの古典落語『目薬』を、卒なくこなした。
続く三遊亭とん馬の『代り目』も、悪くない。

中トリの桂南なんは、名前からして小南の弟子だと思うが、芸風が違った。
これが素晴らしい。
『千両みかん』を口演したが、この日の公演の中で、唯一の初めて聴く噺だった。
価値観の違いを、考えさせられた。
森鴎外の『高瀬舟』に通じるものがある。
粗を探しても、何も出て来ない完璧な口演に思えた。

仲入り後、落語としては一番手(ヒザ前)の三遊亭遊吉も上手い。
この日の演目『化物使い』は、最近、やる人がいない珍しい噺だという。
何処で聴いたか覚えていないが、知っている噺だった。
そして、トリはベテランの三遊亭遊三である。
笑点でお馴染みの三遊亭小遊三の師匠だ。
二月上席で弟子の小遊三が口演した、『蛙茶番』を余裕でこなした。

七月国立名人会のチケットが、20秒足らずで完売になったのはショックだった。
勿論、これからも事情が許す限り、名人会は観たいと思っている。
ところが、今回期待していなかった中席で、大満足できた。
未知の優れた噺家や噺の存在を知り、自分はまだまだ落語初心者だと思った。
だから、“落語は止められない”ということかも知れない。
人生には辛いことや悲しいことが多くあるが、それを忘れさせてくれる3時間余りだった。

   *****

写真
6月13日(月)の演題



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SOYOKAZEさんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

補聴器を直して、初めて聴く落語でした。
以前と聴こえ方が、全く違います。
少しずつ、性能が落ちていたんですね。
難聴の辛さを、再認識しました。
難聴に限りませんが、健常者には理解出来ない辛さがあります。

わが家も来月はお盆です。
菩提寺での施食会法要、両親の眠る寺でのお施餓鬼があります。
それが終わると、8月2日は妻の祥月命日です。
自分を見つめ直す、良い機会だと思っています。

2016/06/15 06:24:01

よかったですね

さん

おはようございます。

期待以上のものが観られて、よかったですね。
逆だとガッカリするけれど、得した気分でしょう?

私は落語とも遠ざかってしまいます。
今月は金欠だし、来月はお盆や法事もあるので。

2016/06/15 06:08:17

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