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敏洋’s 昭和の恋物語り

[舟のない港](二十九) 

2016年04月06日 外部ブログ記事
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 ミドリにしても、兄の道夫の反対を押し切ってまで、交際をする気にはなれなかった。
しかし、道夫に恋人が出現したことで、状況が一変した。
勿論、道夫は以前と変わらずに、ミドリを可愛がってくれる。
恋人も、本当の妹のように接してくれる。
しかし、やはりミドリは淋しかった。

 何をするにも、何処に行くにも、道夫と一緒だった。
「お兄ちゃんのお嫁さんになるの」が、口ぐせだった。
周りも、微笑ましく見ていた。
しかし今、兄のお嫁さんになるであろう女性の出現である。
ミドリの心の中にポッカリと、大きな穴が空いていた。
そんな時の、男との出会いであった。
ミドリにしてみれば運命の出会いとでも言うべきものだった。

“みたらい、ミドリ”
 心の中で呟いてみた。
耳たぶまでが赤くなるのを、ミドリは自覚した。
今、その男とピッタリ寄り添って、踊っている。
いや、漂っている。
始めての大人の世界に触れて、酔いしれていた。

 男にしても、麗子にはない純真さを感じ、次第に愛おしさを感じ始めていた。
しかし、麗子に対する思いとは別物のものだ。
初恋のような、甘酸っぱさを感じていた。
とは言うものの、あの夜の夢が思い出されて、頭から離れない。
知らず知らずに、ミドリをリードする手に力が入った。
全てを男に委ねているミドリに、男の欲情が膨れあがってきた。

「痛い」
突然のミドリの言葉に、男は我に戻った。
「あ、ごめんごめん。少し休もうか、疲れたろう」
と、己の淫らな妄想を打ち消すように、ミドリをボックスへ促した。
ミドリは、もう少しこのままでと思いつつも、男に従った。

 しばらく他愛もない会話を続けたが、休憩から戻ったバンドの演奏が始まった。
ホールに人が集まり始めた。
そんなホールに見入っていたミドリに、「もう一曲、踊るかい?」と、男が尋ねた。
ダンスの妖しい魅力に惹かれていたミドリは、「はい、踊りたいわ」と、答えた。

 間髪入れぬその返事に、男は、正直な娘だと、嬉しくなった。
ダンスの途中に、ミドリは男の胸によろけた。
体中が、火のように火照っていた。

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