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敏洋’s 昭和の恋物語り

[舟のない港](十九) 

2016年03月23日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



翌朝、カーテンの隙間からの強い光に男は目が覚めた。
台所の方からハミングが聞こえる。
ベッドの中で腹這いになると、タバコに火をつけた。

充実感に満たされていた。
七時の目覚まし時計の音にせき立てられるようにベッドから下りると、まずは弱火で湯を沸かす。
顔を洗い、ひげを剃り、頭髪を整える。
そしてピーッというケトルの音が鳴る。
コンロの弱火が、男の自慢の種だ。
タイミングがピッタリとなったときには、思わずニヤリとほくそ笑む。

それからシリアルをカップに入れて牛乳を入れる。
ふた月ほど前からトーストからシリアルに変えた。
子供じみているかと思いはしたが、同僚の一人が糖尿病と診断されたと聞いた。
カロリーの摂り過ぎだよと医師に言われたとこぼされて、男もまた似たような食生活を送っているのだからと、朝だけでもカロリー制限をすることを思い立った。

いつもはバタバタとこなさなければならない諸々が、今日は任せていられる。
そろそろかな、と思い始めた。
「武さん、起きてよ。朝食の用意できたわよ」
 明るさの中にも、恥じらいのある声だった。昨日までの傲慢な麗子ではなかった。
 新妻の色香が漂っているように思えた。
「結局のところ、女は男次第か」
ひと晩のことで、これ程に違うものかと驚かされた。
「えっ、なあに。なにか言ったあ?」
「いや、今起きるよ」
 少し薄目のコーヒーには、砂糖がなかった。
「太るから」と麗子が呟くように答えた。
「やっぱり、お砂糖がいるかしら」
「いや、これでいい」

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