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敏洋’s 昭和の恋物語り

にあんちゃん 〜二十年前のことだ〜 (七) 

2016年01月20日 外部ブログ記事
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 孝男の初恋は、相手の父親の転勤で告白すらできない片思いに終わった。
高校の卒業を待たずに、転校してしまった。

 成人式後の同窓会において、酒の回った女性陣から声をかけられた。
「鈴木ほのかさん、覚えてる? あなたのことが気になってたみたいよ」

 単なる酒席における戯れ言なのか、どこまでが本当なのか判然としなかったが、孝男の思いに一気に火が点いた。
消息を誰彼となく聞くが、はっきりとした情報を持つ者は居なかった。

実家のあるこの地にいつかは戻ってくるさと、にやけた表情を見せながら言う者が居た。
からかい半分の情報かとも思ったが、一縷(いちる)の望みを持たないでもなかった。

 孝男は酒宴の席も断り、接待だといっては出かけていたゴルフもパタリとやめてしまった。
自慢のゴルフバッグも、粗大ゴミととして処分してしまった。
代わりに、ベビーカーが陣取ることになった。

 周囲から「良い旦那さまねえ。羨ましいわ、奥さんが」と、事あるごとに声をかけられる。
「ええ、まあ…」と口を濁す道子には、孝男の奥底の気持ちが分かっているだけに、辛いものだった。

 ほのかが生まれてからというもの、定時退社が常となった。
帰宅するや否や着替えもそこそこに、ほのかの元へと行く。
すやすやと眠っているほのかを見てはうんうんと頷きつつも「もっと早くに昼寝をさせろ」と、道子に苦言を呈する。

時に無理矢理起こしてぐずらせてしまう。
「抱き癖がついてしまいますよ」
 と、道子がこぼそうものなら
「なら、お前が抱かなければいいじゃないか! ミルクは俺が飲ませてやる」
 と、烈火の如くに怒り出す。

 たまたま買い物が遅くなった日に、「風邪を惹かせるつもりか。肺炎にでもなったらどうするつもりだ」などと言いだし、物を投げ付けんばかりに怒り出した。
 あげくには「買い物なんぞ宅配サービスにしろ!」と言い出す始末だった。

 ほのかの健康を心配してのことではない。
孝男の帰宅時に、ほのかが在宅していないことが問題なのだ。
毎日が定時帰宅ならば問題はなかった。

時として胸騒ぎがしたからといって、半休を取って帰宅したことがあった。
その折に外遊びをと公園に出かけていた道子に対し、罵詈雑言を浴びせた。
泣き叫ぶほのかをあやそうとする孝男だが、手に負えない。
何とか寝かしつけた道子に対し、その夜、日付が変わるまで罵り続けた。

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