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吾喰楽家の食卓

続発するサプライズ(オーケストラ編) 

2015年10月20日 ナビトモブログ記事
テーマ:生活

決して音楽に、造詣が深い訳ではない。
まして、クラッシック音楽ともなると、深いどころか浅いのを通り越し、限りなく皆無に近いのかも知れない。
あらかじめ、そういう人間が書いた感想だということを、ご承知おき頂きたい。

本堂での公演なので、カーテンはない。
昼休みにステージを設営したから、その様子は丸見えである。
先ず、畳の上にロール状の赤いフェルトが、修行僧によって敷かれた。
続いて、折り畳み椅子や指揮台が、楽団のスタッフによって運びこまれた。
大きな楽器の一部は、事前に持ち込んだ。
定刻、演奏者が楽器を持って入場した。
オーケストラの名前は、“横浜シンフォニエッタ”である。
その人数、五十人程だ。
もっと小さな規模の演奏会を想像していたので、人数の多さに驚いた。

次に指揮を執る池辺晋一郎の入場である。
早速、自身の作曲した、大河ドラマ「独眼竜政宗」と、映画「影武者」のテーマ曲の演奏から始まった。
目の前で聴く演奏は、凄い迫力だ。
同じく渡辺晋一郎の作曲である歌曲「風の子守歌」を、バリトンの大山大輔が歌った。
彼は劇団四季のミュージカル「オペラ座の怪人」で、ファントム役をしたそうだ。
ミュージカルにも疎い私は、ファントムといっても、どんな役か解らない。
でも、素晴らしい声なのは、素人の私にでも理解できた。

次の曲は、ドヴォルザーク「交響曲 第9番 新世界より」第2楽章である。
タイトルだけでは、どんな曲か見当も付かなかったが、演奏が始まると、聞き覚えのあるメインテーマが繰り返された。
初心者でも馴染みがある曲を、選んだのかも知れない。
久し振りに聴く名曲に、心が和んだ。

続いて「峨山禅師讃歌」(渡辺晋一郎 編曲)を、大山大輔が一番を歌った。
さすがプロ、「素晴らしい」の一言。
二番と三番は、鶴見大付属中学・高校の生徒たちだ。
総勢六十人くらいだろうか。
オーケストラの伴奏で歌えたのは、良い経験になったと思う。
それも、大勢の観客の前である。

最後は、お目当ての大遠忌記念作品「峨山道-GASANNDO-」である。
以下、カタログの抜粋だ。

『オーケストラによる序奏=3〜4分、大悲心陀羅尼(テンポの遅い読経)=10分強、同(テンポの速い読経)=約1分、オーケストラによる後奏=4〜5分などと、細かい指定があるが、それにただ従うのではなく、その時間構造の中から聞こえてくる衆生の想念を音化したいと考えた』(渡辺晋一郎)

正直に云うと、事前のこれを読んで、どんな曲なのか全く想像できなかった。
演奏を聴き終え、確かにそういう構成だったのは解った。
しかし、衆生の想念を音化にするのに成功したか、私には解らない。
序奏の後、退屈な読経が続いた。
目の前で、大きな木魚を叩く僧侶の大変さに、同情の念を覚えた。
日頃、聴き慣れている読経に比べ、極端に遅い。
オーケストラと読経がコラボレーションすることで、何か新しいものが生まれたとは、感じられなかった。
速い読経になってからは、聴き慣れたテンポの心地よさを感じられた。
しかし、その部分は直ぐに終わった。

以前、シシーマニアさんのブログに、『オーケストラ伴奏のテンポが、まるで追いついていないかのように聴こえる程、ピアノは超絶な速度で駆け巡る』という、件があったのを思い出した。
正に、それである。
また、指揮者が読経に合流するタイミングを、必死で測っている様子も興味深かった。
プログラムには、速い読経は1分とあるが、もう少し長い時間のように感じた。
この部分を気に入ったので、そのように感じたのであろうか。
くどいようだが、クラッシック音楽の“ど素人”の感想である。
ベートーベンの第九のような、オーケストラと合唱の一体感が、今回のコラボレーションには感じられなかった。
もっとも、合唱と読経を比べること自体、無理があるのかも知れない。

定刻の午後三時、全ての日程が終わった。
ここに来たのだから、墓参りをしないで帰る訳にはいかない。
妻の眠る墓と、実家の墓に線香を上げ、帰路に就いた。
この間の三十分で、サプライズに遭遇する破目になるとは、夢にも思わなかった。

つづく

   *****

写真
向唐門(特別な日にだけ開門される)



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シシーマニアさんへ

吾喰楽さん

こんにちは。

初演ではありません。
今年の6月23日、“みなとみらいホール”でコンサートがありました。
今回は、2回目の演奏だと思います。
お寺では、初めてのはずですが。

2015/10/20 13:55:09

初演に、立ち会ったのですよね。

シシーマニアさん

私のブログを引用して戴きありがとうございました。

昨日の日経新聞に出ていましたが、クラシックとはもともと、「第一の」という意味だったそうです。
だから、数限りなく生まれた音楽の中で、今日まで生き延びてきたものが、クラシックというわけですよね。

作曲分野をクラシックと分類するのもちょっとおかしいかもしれませんが、でも日本の作曲家は、自分たちのアイデンティティーを追及して、様々な試行錯誤をしているのではないでしょうか。

聴いてみたかったと思います。

2015/10/20 13:35:34

Reiさんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

期待した以上に楽しめましたが、疲れました。
久し振りのオーケストラです。
ブログでは触れませんでしたが、雅楽も良かったですよ。
結成80年の僧侶のグループです。

サプライズは続きますが、楽しいことではありません。

2015/10/20 08:30:41

貴重な体験

Reiさん

おはようございます。

オーケストラと読経のコラボとは、貴重な体験でしたね。
オーケストラの演奏は、生で聴くとすごい迫力ですね。「新世界より」は大好きな曲です。

このシリーズは、まだまだ楽しみがありそうですね。

2015/10/20 08:24:39

SOYOKAZEさんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

6月23日、“みなとみらいホール”で、このコンサートが開催されました。

「ファントム」は、怪人の名前でしたか。
仮面の写真は、見たことがあります。
「家路」は、お馴染みの曲なんですね。
何れも、知りませんでした。

正直、音楽的なことは、よく解りませんでした。
でも、機会があったら、もう一度聴いてみたいと思います。

2015/10/20 07:28:12

興味深い

さん

おはようございます。

前売り券を買っても聞きたい演奏会でしたね。
「ファントム」はオペラ座の怪人です。
仮面をつけている写真を見た事ありませんか?
新世界の第二楽章は「家路」ですね。
中学の下校時刻には、この曲が流れていました。
本当に、家に帰りたくなるような曲ですよね。

読経は変な抑揚をつけず、素直に発するようにと、四国遍路の先達をしている友人に聞きました。
ずうっとフラットでゆっくりだと、眠くなりそうですね。
それがテンポアップして、どうオーケストラと絡むのか、興味があります。
第九は、合唱もオケも、共に旋律を奏でますが、読経には音階が無いから、それを生かす作曲にかかっていると思いました。

2015/10/20 07:10:51

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