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教えるのは楽しい。 

2015年08月21日 ナビトモブログ記事
テーマ:音楽

ピアノを教えるのに、特別な資格はいらない。

私の勤務先は大学だったので、教員免許もいらない。


学生時代、アルバイトの感覚で子供に教えたのが最初であった。

声をかけてくれた先生が、「未経験なので」と躊躇する私に、「誰でも最初は、未経験なのだから・・」と、励まして下さった。


それから数十年。

多分、私の生徒数は極端に少ない方だろう。

二人目の子供が生まれた時に、教えるのを一度辞めたから・・。


子育て中、教えるのを辞めるか、弾くのを辞めるか、結構迷った。

結局出した結論は、弾くのを辞めると元には戻れないけれど、弾いてさえいれば、教える事はいつでも再開できるだろう、であった。

それに、ピアノのように一人きりの練習は、好きな時間に自分の家でできる、という大きなメリットもあった。


そして、子供達が小学校の高学年になった頃、音大で教え始めたのだ。

最初の日の事は、今でも覚えている。

電車に乗っていると、学生風の若い子たちばかり目についた。

全く様子がわからない私は、彼らの目には新米先生と映っているのかしら、等とドキドキしていた。

どんな学生を担任するのかしら・・。


不安は募ったけれど、不思議なことに教える不安は全くなかった。

ピアノを勉強する、という今まで積み重ねてきたことを、只立場を変えて続けるだけである、という認識だったのかも知れない。


そして、それは思った以上に楽しかったのだ。

子供を教えるのは、ちょっと苦手である。

もし神童の様な子に出会って、それに自分が気づかず芽を摘んでしまったら、という気がかりもあるし。


音楽を教えるのは、右脳で受け取ったものを、自分の中で左脳に変換して、それを相手に伝える、という作業である。

これが、結構楽しいのだ。


まず、生徒の演奏を右脳で聴く。

先生としての私は自分の中で、それを例えば理想の形と思える演奏と比べていく。

そして、そのギャップを、いかにして埋めていくか、それを左脳に置き換えて、生徒に伝えていく。


それは、自分がピアノを学ぶ作業と全く変わらない。

弾いているのが、自分であるか、生徒であるか、の違いだけである。


言葉で伝わらない時は、一つの表現例として、私が弾いてきかせる事も多い。

先に生れた先生だから、この曲に関しての知識や経験は多少なりとも蓄積されている、という理屈である。


だから、教える場合の予習はかなりする方だと思う。

一つの例として聴かせるだけだから、勿論演奏会のようにシビアな場で弾くのとは違うけれど、それなりの練習は必要である。


この音は、どの指を使って弾くと、合理的か。

ペダルは、どの音で踏んで、どの音を弾くときに、離すか。

此処は右手と左手の、どちらを中心に聴きながら弾いていくか。

この左手を弾くときは、体の重心を少し右に傾けた方が安定する、など等。


そういった、技術的なちょっとしたアドバイスで、見事に生徒の演奏が変わっていく時こそ、至福の時である。

音楽的な解釈は、細かく教えすぎると押し付けになるので、あまり具体的なことは言わない。

何かに例えていう事も多い。


私の中では、英語とかドイツ語等の言語のように、音楽語という言語もあって、ある程度はほかの言語に置き換えることのできる表現だと思っている。

音楽の天才たちは、小説を書くように音楽語で表現しているので、その言語を学んでいけば、理解可能、というわけだ。


言語を学ぶのは、いずれにしろ簡単ではないけれど・・。



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妙を得た・・

シシーマニアさん

パトラッシュ師匠、こんばんは。

師匠が使われると、市民権を得た気分です。何の抵抗もなく入ってきました。

師匠もやはり、喩派、ですか。私こそ、どんな喩なのか、伺いたいですね。
私の場合は、生徒のレッスンの時に思いつく簡単な事ですが、時には相手が一人なのは残念な位、回心の作もあります。でも、同じ曲だからといって、又同じ喩を出したりすると、見事に滑ります。

そのうち、何か思いついたら、書いてみたいと思います。

2015/08/22 22:50:00

ピアノは人生の友かも

シシーマニアさん

喜美さん、こんばんは。

コメントありがとうございました。
お嬢さんは、ずっとピアノをおやりでしたか。
エレクトーンは、とても可能性のある楽器ですね。
私の好きなオルガンを、電子化した楽器というのでしょうか。

喜美さんの環境は、まさに現代をいっていますね。

2015/08/22 22:40:38

ワインは大好きです。

シシーマニアさん

amiさん、こんばんは。
コメント、ありがとうございました。
ワインに合うハードなパン、という文章にとても親近感を覚えました。

>「教える」ということは、やはりその人なりの生き方みたいなものが、自然に伝わりますよね。

つくづく、私も思います。
色々、精進したいと思っています。

2015/08/22 22:34:11

なるほど

パトラッシュさん

共通言語は「音楽語」ですか。
妙を得ていますね。

> 何かに例えていう事も多い。

私も、囲碁将棋においてですが、時に(いや、のべつ)喩えを用いて、説明をします。
これがツボにはまると、気持いいのです。
きっと、理解してくれたのでしょう、生徒の顔が、ぱっと輝いたりして。

シシーマニアさんの例えに、大変興味があります。
次の機会にでも、一例をお示し頂けると、嬉しいのですが・・・

2015/08/22 07:12:01

ピアノ

喜美さん

娘は幼稚園の頃からピアノ習っていました 大学は音大でなく小学校から続く学校でした 大学に行き
何方かに進められてエレクトーンの教師の試験受け(その頃流行していました)試験の時 ピアノと違いますからタッチを軽くと言われたそうです
触るだけで音でますものね
ヤマハで随分バイトしていました

2015/08/22 05:48:53

こんばんは(*^_^*)

さん

コメントを下さっていたのに、気付かずにお返事が遅くなってしまいました。ごめんなさい<(_ _)>

とても素敵に歳を重ねていらっしゃるのですね。羨ましい限りです。
「教える」ということは、やはりその人なりの生き方みたいなものが、自然に伝わりますよね。
私も幼稚園や小学校で、数年間ですが教師として子供達に関わりました。
純真無垢な子供達から、教えられる事ばかりだったような気がします。
しっかりと予習復習をし、練習を欠かさないシシーマニアさんの生徒さん達は、本当に幸せだと思います。
”音楽語”・・・確かにそうかもしれませんね。
音楽で、クラスが一つに纏まります。
”音楽”は”言葉”を超えると思います。

2015/08/22 02:31:40

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