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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十五) 嘘はないと思う彼だった 

2015年07月28日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



奥まった席に座った貴子を見て、マスターの声がかかった。
「貴子ちゃん、ちょっと買い物してくるよ」
わざわざ準備中の札に変えて出て行くマスターを見て、やっと彼にも理解できた。
“町内の人は知っているんだ、貴子さんが戻った理由を。そして僕とのことも”

「その男性のこと、ホントに好きだったの。心底、結婚したいって、考えてたから。
そんな時、上司から声をかけてもらったの。親身になって、相談に乗ってくれたわ。
今にして思えば、やっぱり若かったのね。その上司も…。
何度かお酒を付き合っている内に、深酔いした夜に…。
でも、信じて! 一度だけなのよ、それも前後不覚に陥った時の、一度だけなの。
信じてた上司だったから、つい気を許して。
それ以来、色んな方からお誘いを受けるようになったの。
どうやら、その上司が吹聴して回ったらしいの。
勿論、全てお断りしたわ。お陰で、色々の部署にたらい回しにされちゃったけど」

彼の目を真正面に見据えて話す貴子の言葉に、嘘はないと思う彼だった。
しかしその反面、来るんじゃなかった、聞きたくないこんなこと、そんな思いが湧いてきた。
しかしそれでも、しっかりと受け止めるべきだとも思った。

「でもいつの間にか、お誘いを受けた方達全てと関係を持ったように言われて。
それ以来、男性不信になってしまったの。
だけど、たけしさんは違ってた。そんな嫌なことを、全て忘れさせてくれたわ。
今度こそは! って、思ったわ。
だから、たけしさんに求められた時、凄く嬉しかった。
トラウマを消し去ってくれるって、思ったの。
アパートで抱かれた時、嬉しかった。
ホントよ。一線を越えてもいいって、ホントに思ったのよ。
でも、だめだった。何度、今夜こそは、と思ったことか。
辛かったわ、私。たけしさんの落胆ぶりを見るにつけ、胸が締め付けられる思いだった。
だから、たけしさんが私を避けるようになっても、責めることはできなかった。
全て、私が悪いの。ごめんなさいね。ホントにごめんなさいね」

涙ながらに、貴子は一気に話した。
彼は、俯いたまま聞くだけだった。
いつも明るく振る舞っていた貴子にそんな辛い過去があったとは、とうてい信じられない彼だった。
「僕の方こそ、ごめん。貴子さんの気持ちも知らずに‥‥」
「たけしさんは、悪くないわ。私よ、私が悪いの。
思わせぶりな態度を取り続けた私が、ずるいのよ」

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