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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十五)プレゼントされた赤いジャンパー 

2015年07月23日 外部ブログ記事
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翌日目覚めた彼は、頭の芯に爆弾を抱えていた。
時計は既に、午後の三時近くを指している。
昨晩(と言えるかどうか)アパートに辿り着いた時、日付が変わっていた。
二時近かった記憶がありはするが、それにしても十二時間以上も眠り続けたことになる。

体のだるさを抱えながらベッドから下りた彼は、冷蔵庫から麦茶を取り出した。
一口飲む毎に、頭の重さが薄れていくような気がした。
コップ二杯を飲み終えて、やっと平常に戻った。
と同時に、別れ際の麗子の言葉が思い出された。

「いいこと。貴子さんのことは、吹っ切りなさい。
そして、牧子さんだったかしら? お別れなさいね。
良い子にしていたら、また連絡を差し上げてよ」
麗子の命令調の忠告に、素直に頷いた彼だった。

“あの貴子さんが‥‥”
何度貴子を求めても、最後の一線だけは許さなかった貴子が、不倫をしていたと言う事実。
然も多数の上司と、という事実。
信じられないというより、認めたくなかった。
“嘘だ! 質の悪いデマだ!”

貴子とのよりを戻そうという気持ちからではなく、かつては真剣に付き合った女性の真実を知りたいと思った。
貴子に連絡を取ろうと思ったが、貴子の引っ越し先を彼は知らなかった。
井上ならばあるいは知っているかもと思ったが、さすがに憚られる。
取りあえず、デパートの人事部に問い合わせてみることにした。

正面からでは教えてくれる筈もないが、雪枝さんなら、教えてくれるだろうと、彼は手早く着替えて外に出た。
外はどんよりとした曇り空で、厚手のトレーナーでは少し寒く感じた。
慌てて部屋に戻ると、貴子にプレゼントされた赤いジャンパーを着込んだ。

「赤なんて、恥ずかしいよ」と言う彼に対し、「タケシさんには、赤は良く似合うから」と、譲らない貴子だった。
試着室で着てみると、確かに違和感はなかった。
「ほらっ、ね。良く似合ってるわ」
嬉しそうに笑う貴子に、照れ笑いで応える彼だった。

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