メニュー

最新の記事

一覧を見る>>

テーマ

カレンダー

月別

吾喰楽家の食卓

一日二回の一谷嫩軍記 

2015年06月30日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

池袋のデパートで、昼餉の弁当を選んでいるとき、美味しそうなフライドチキンを見つけた。
幾ら美味しそうでも、文楽を観に行くのに、フライドチキンの弁当では場違いである。
それに、半身だから食べ切れる量ではない。
帰りに、電車の具合で買うことにした。
と云うのは、乗換駅の小川町まで行く電車は、三十分に一本なのである。
フライドチキンを買うために、電車を一本遅らせるのは嫌だ。

結局、弁当は「彩ちらし」と名付けられた、ちらし寿司に決めた。
天気が良く、心地よい風も吹いていたので、国立劇場に近い公園で食べることにした。
食べ始めると、雀が近づいてきた。
気のせいか、雀は餌を欲しがっているように見える。
野生動物に餌を遣るべきではないと思っているが、試しに数粒のご飯を落としたら、直ぐに飛びついた。
雀に餌を遣る人がいるらしく、人間に慣れていたのだ。
弁当を食べ終えて楊枝を使っていると、上あごにご飯粒が一つ挟まっている。
地面に吐き出すと、今度は四羽の雀が飛びついた。
食べたいとは思わないが、雀の丸焼きは美味しいらしい。
人に慣れている雀をみて、残酷なことが思い浮かんだ。

初めて観た文楽は、中々の物だった。
興奮冷めやらぬまま、地下鉄で池袋へ向かった。
小川町へ行く急行が、出たばかりだった。
フライドチキンを買うことにした。
帰宅しても、まだ温かった。
早速、ビールで食べることにした。
朝から食べたいと思っていた、フライドチキンである。
ビールに良く合う。
半分くらいしか食べられないと思っていたのに、残ったのはわずかだった。

夕餉の片付けが終わり、一休みしたら九時になっていた。
早起きをした上に、四時間も文楽を観ていたので、疲れたのか眠くなった。
テレビを消す前に、たまたまEテレに回したら、文楽の襲名披露が始まったところである。
あぜくら会の会報の表紙になっていたので、吉田玉女が二代目玉男を襲名したのは知っていた。
「女が男になったんだ」と、印象に残った。
この頃は、まだ文楽を観たいとは、思っていなかった。
人の気持ちは、何時どうなるか分からない。

襲名披露の演目は、今日観て来た「一谷嫩軍記」である。
眠気が、一気に飛んで行った。
同じ日に、同じ演目を、二回観るのである。
どうしても、比較してしまう。
国立劇場で観たのは、落語で云うと二ツ目かもしれない。
片や、テレビは、昭和・平成の長きにわたり名人と云われた、師匠の玉男を継いだ二代目である。
その襲名披露だから、それなりの人形遣いを揃えているはずだ。
真打どころか、名人会に登場する面々なのだろう。
昼間の舞台では、文楽初体験の者でも、首を傾げる点があった。
首実検の際、布で首を覆う仕草が、上手く出来ていなかった。
もう一点は、弥平兵衛宗清の袖が絡まり、足の運びも不自然に感じた。
昼間は、こんな物かと思ったが、夜、テレビ観たのは全く違う。
これが、芸なのだ。
一日二回、「一谷嫩軍記」を観たからこそ、ど素人でも気が付いた違いである。

   *****

写真
6月28日(日)の夕餉



拍手する


コメントをするにはログインが必要です

SOYOKAZEさんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

本当に、この日は、めぐり合わせを感じました。
更に、11時まで起きていたことで、翌朝まで熟睡できました。
最近、夜が明けないうちに目が覚めて困っていたのです。

昔、多摩地区にある炉端焼きで、開いたウズラとスズメが出て来ました。
でも、食べられませんでした。

2015/06/30 08:28:39

めぐり合わせ

さん

おはようございます。
日に二回、出し物も同じものを見て、若手の演技ではイマイチだった文楽の素晴らしさに気づかされたこと。
朝、食べたかったフライドチキンが、電車の都合で買えたこと。
これはめぐり合わせですね。

お弁当と雀の件、子供のころ、父が土産に持って来た、雀の丸焼きを見て、大泣きしたこと、ゆで卵を割ったら、雛になりかかった黄身で、以来、しばらくゆで卵が食べられなくなったことを思い出しました。
雀を見て、そんな連想をするなんて・・・

2015/06/30 07:31:27

PR





上部へ