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吾喰楽家の食卓

初めての文楽 

2015年06月29日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

昨日、国立劇場小劇場の「六月文楽若手会」へ行った。
文楽は初めてである。
元々、文楽といえば文楽専門の劇場の名前だが、今では人形浄瑠璃のことをいう。
演目は五條橋、一谷嫰軍記(いちのたにふたばぐんき)、新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)だ。
五條橋は牛若丸と弁慶、一谷嫰軍記は熊谷直実、新版歌祭文はお染久松が登場し、ご存知の方も多いと思う。
若手の研修発表会なので、チケットが安かったので、体験することにした。

劇場に入ると、直ぐには自分の席に着かず、場内を一回りした。
初めての劇場に来た時の決まり事である。
どの辺が見やすく、どの辺が見にくいかを、次回のために調べている。
ワンフロアの場内は、傾斜が付いており、ほとんどの席から良く見えるようだ。
座席数は、国立演芸場の倍くらいある。
今回、前から二列目中央部の席が取れた。
座席の前後は、国立能楽堂並みに広い。
ところが、前席の背面に字幕用のモニターは無く、舞台両脇の高い位置にあった。
座席が前すぎて、字幕が見にくいように思えた。

定刻、時代物の五條橋から始まった。
出演者は、牛若丸と弁慶の二人だけである。
思っていたより、人形が大きく見えた。
人形は、三人遣いで、主遣いが首(かしら)と右手、左遣いが左手、足遣いが足を操作している。
時々、主遣いが何か合図しているのは、呼吸を合わせているのだろう。
牛若丸と弁慶が出会う場面だけなので、二十分足らずで終わった。
短すぎて物足りない気がしたが、料理に例えれば、前菜なのだろう。

十五分の休憩を挟み、次は時代物の一谷嫰軍記である。
元々の物語は、直実が主役であろう。
文楽では、直実の妻「相模」と敦盛の母「藤の局」が、際立っていた。
歌舞伎では、どうなのだろう。
二人の女性が、実に美しい。
人形遣いの演じる魂が、人形に乗り移ったかのようである。
登場人物が多い。
大夫が一人で、全ての出演者の台詞を云うのである。
舞台が盛り上がって来ると、大夫や三味線方の顔も見たくなる。
顔を大きく右に曲げないといけない。
字幕も見ないと、意味が通じない。
今度は、右上を仰ぎ見ることになる。
その間、舞台はお留守だ。
最前列の客は、全く舞台から目を逸らさない。
文楽のベテランなのかもしれない。
今回の席は、初心者向きではなかった。
二時間近く、首を動かし続けたら、すっかり疲れてしまった。
料理に例えれば、メインの肉料理である。
かなり満腹になったが、次に魚料理が控えている。

二十分の休憩で、大分、腹はこなれた。
最後は、世話物の新版歌祭文である。
舞台は野崎村だ。
東海林太郎の「野崎小唄」の“野崎参りは 屋形船でまいろ”が、思い浮かんだ。
ここでも、「おみつ」と「お染」が際立った。
恋愛における自己犠牲は、珍しくもないテーマであるが、目が熱くなった。
あっという間に八十分が過ぎた。
それだけ、人形遣い、浄瑠璃大夫、浄瑠璃三味線方の演じる三位一体の芸に、のめり込めたのだろう。

   *****

写真
6月28日(日)の昼餉と国立劇場小劇場

*文字化けは、「漱」の偏を女に替えた字です。



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SOYOKAZEさんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

昨夜もEテレで放映していましたよ。

人形遣いは、あまり表情を変えません。
それでも、控えめですが、込めた想いが伝わって来ます。
素晴らしいです。

さすが、ユネスコの無形文化遺産です。
近年、観客は増えているそうです。

10列目くらいが、いいですね。
今回は紐を結ぶ所まで良く見えましたが。

2015/06/29 09:57:56

マリーさんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

「嫩」は、右側の旁が違います。
夏目漱石の「漱」です。

文楽から歌舞伎へ作り直した作品が多いですね。
歌舞伎が好きな方なら、文楽も楽しめると思います。

2015/06/29 09:49:40

よかったでしょう!

さん

おはようございます。

私は、生は観たことないですが、テレビで観ました。
太夫の台詞でわかりませんでしたか?
私は字幕などなかったけれど、わかった記憶がありますが。

人形とは思えない動きや表情は、細かく変えられないハンデがあるにも関わらず、見事に全身で感情表現をしているでしょう!
感嘆しました。

人形の動きを見るなら、前の真ん中がよいでしょうが、三方見るなら、もう少し離れた高さがある席がよいかもしれませんね?

2015/06/29 09:23:41

嫩ではないでしょうか

さん

一谷嫩軍記にしても文字化けするでしょうか。
熊谷陣屋を歌舞伎で見ました。
吉右衛門が素晴らしかったです。
首実検の所では涙してしまいます。

2015/06/29 09:17:13

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