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チケット争奪戦　

2015年06月12日
テーマ：古典芸能

来月のお盆には、妻の墓と両親の墓へ行く。
両家とも、七月のお盆である。
また、親戚の一周忌法要もあるので、歌舞伎や落語の回数を減らさないといけない。
先週、七月歌舞伎鑑賞教室（義経千本桜）のチケットを買った。
もう一回くらい大丈夫だろうと、七月の国立名人会（落語）へ行くことにした。
ところが、同じ日に“あぜくら会”の会員を対象にした、バックステージツアーがあることに気が付いた。
国立劇場の花道や舞台をはじめ、ふだんは入れない楽屋を見学できるのだ。
定員百五十名で、応募多数の場合は抽選だという。
散々迷って、名人会のチケットは購入し、ツアーも申し込むことにした。
ツアーが当たったら、名人会のチケットは、誰かにプレゼントすれば良いと、その時は考えた。

六月十日の十時から、名人会のチケットが、“あぜくら会”の会員に先行発売される。
十分前にチケットセンターへアクセスし、十時を待った。
ところが、ログインしてから何の操作もしないと、自動的にログアウトしてしまう。
だから、あちこち操作しながら、十時直前に名人会の購入画面に戻らないといけない。
十時に画面が変ると直ぐに、名人会の購入サイトへ入った。
多分、二秒か三秒くらいしか、時間は経っていなかったはずだ。
空いていた最前列の席をクリックしたが、間一髪、誰かに取られた。
同じことを、三回繰り返した。
この時点で、中央ブロックの前半分が売れた。
やむを得ず、上手（かみて）ブロックに切り替え、五回目にして二列目がヒットした。
購入手続きを済ませ、初期画面に戻ったら、三百席の全てが売り切れていた。
その間、わずかに二分である。

他人と競うのが苦手だ。
電車に駆け込み、座席を取ることができない。
第一、その様は、はたで見ても美しくない。
建物の入口や出口で、他人とかち合っても譲ってしまう。
意味合いは少し違うが、スポーツも駄目だ。
体力に自信がないだけでなく、そもそも運動神経が鈍い。
ところが、相手が見えず、体力も必要ないとなれば、話は違う。
今回のパソコンでチケットを購入するのも、その例だ。
事前に準備が出来る。
操作手順を頭に叩き込み、座席の選択も瞬時にできるようにしておく。
何れも、迷っては駄目である。
時間との勝負だ。
満点とは云えないが、上々の座席を確保し、達成感も味わえた。
本来、競争心は旺盛なのかもしれない。

七月の国立名人会のトリは、柳家小三治である。
小三治の師匠は、落語界から初めて人間国宝に認定された、先代の柳家小さんだ。
弟子の彼も、昨年の十月に人間国宝に認定された。
四ヶ月前の六月に落語協会会長を勇退し、柳亭市馬にその座を譲っている。
しかし、人間国宝の落語だから聴きたいのではない。
子どもの頃から、ファンだった。
聴くのは、もっぱらラジオで、実演は今回が初めてだ。
「マクラの小三治」という異名を持つ噺家で、国立演芸場の売店で買った、「ま・く・ら」という彼の著作を読んでいるところだった。
本題の導入部で語る、世間話や小噺などのマクラが面白い。
苦労して取ったチケットである。
バックステージツアーには応募せず、国立名人会へ行くことにした。

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写真
６月１０日（水）の昼餉と夕餉
＊真アジ（長崎産）の塩焼きが絶品

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