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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空・第一部〜(十三) もういいよ 

2015年05月31日 外部ブログ記事
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「もういいよ」
「はい」
いつもなら反発の声を上げる早苗が、素直に頷く。
しかし席を立つわけでもない。
「ホントに、いいから。一人で食べるから」
「はい。呼ばれたら、すぐに来ます」
手を振って邪険にする彼に対し、早苗はにこやかに答えて席を離れた。

冷蔵庫から麦茶を取り出した彼は、その上に置かれている灰皿に目が止まった。
「あれ? 何で、灰皿があるんだ。お母さん、吸い始めたのかな」
さ程に気にとめることもなく、彼は一気に飲み干した。

「アハハ‥‥」
明るく笑う早苗の声が、彼の耳に届いてきた。
茂作の部屋に入り浸っているとは聞いたが、今日の彼には疎ましく思えた。
”早く帰ればいいのに。お母さんは、どこだ? どこかに、出かけたのかな”
台所から玄関先に向かった彼は、小声で話をしている母親を見つけた。
声をかけようとしたが、眉間にしわを寄せて受話器を持っている母親に気付いた。

「だから、何度も言ってるでしょうが。昨日、武士が帰ってきたからって。
分かってるわよ、それは。でも、武士に気付かれたら困るでしょ。
えっ? 貴方は良いでしょうけど。
ええ、ええ。‥‥。二、三日待ってちょうだい。
今は未だ、早いわよ。とに角、武士が卒業するまでは。
あなたの気持ちは分かってます。けど、押しつけないでちょうだい。
ちょっと、待って。武士が起きたみたい。タケくん? お早う!」
受話器を後ろに隠したまま、母親が明るく声をかけた。

「お早う! ちょっと、お爺さまの部屋に行ってきます」
「そうね、そうしてくれる」
彼が背を向けると同時に、すぐにまた受話器を耳に当てた。
「そう、そうよ。とに角、二、三日待って。
そう。会社の方に、また電話しますから。
えっ? だめよ、こちらにかけては。
早苗ちゃんが、薄々気付いてるみたいだから。
じゃあね、はいはい」

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