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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空・第一部〜 (十二) 今の母は、夜叉なの。 

2015年05月14日 外部ブログ記事
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「今の母は、夜叉なの。復讐心の固まりなの。そのことに母は、傷ついているのよ。
父は、一年の大半を出稼ぎで留守にしていたの。
そのことは、母も覚悟していたらしいわ。どこの家でもそうだったから。
そんなことじゃ、ないの。
お祖父さんとも、初めの内はうまくいっていたらしいわ。
お祖母さんとの折り合いが良くない母を、結構かばってくれたらしいわ。
でもね、お祖母さんが亡くなり、追いかけるようにして父が亡くなったの。
事故だったわ。私が、小学生の時だった。
私が、私が‥‥。ピアノを欲しがったばかりに」

そこまで話した牧子は、声を詰まらせた。みるみる涙が溢れ、大きく泣き崩れた。
「無理をしたのよ、無理をさせたの、私が。私のわがままで、父は…」
絞り出すような牧子の声に、彼は
もういいよ、もういい!」
と、思わず叫んでしまった。

「いえ、聞いて。聞いてちょうだい!」
牧子は背筋をピンと伸ばして、話を続けた。
彼に話すというよりは、牧子自身に言い聞かせるといった口調だった。

「それから、お祖父さんの叱責が始まったの。
父の死は、母のせいだと詰り始めたの。私は、なにも知らなかった。
お祖父さんも、私の前では決してそんな素振りは見せなかった。
いえ、以前にも増して可愛がってくれたわ。そうね、溺愛されたわ。
私のわがままは、すべて通ったのよ。もちろん、ピアノも買ってくれたわ。
教室に通いたいという私に、先生を自宅に呼んでもくれた。
発表会になると、高いドレスも買ってくれた」

焦点の合わぬ目で、一点の空を見つめる牧子だった。
小学生の己を思い描く牧子だった。
「生活は楽じゃなかった筈。少しの補償金は出たでしょうけれど、雀の涙よ。
田畑があるといっても、大した収入にはならなかった筈だし。
そうでなければ、父が出稼ぎに出かけるわけないわ。
すべて、母の頑張りだった筈。
早朝の新聞配達に始まり、昼間は工場勤め。夜は夜で、内職仕事。
で、日曜日には畑仕事。それこそ、身を粉にして頑張ってくれた。
もちろん、お祖父さんも畑に毎日出かけてはいたけれど」

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