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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空・第一部〜 (十一) 予防線を張っているわけです。 

2015年03月23日 外部ブログ記事
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ゼミの教授に頼まれた資料整理を終えた頃には、雨が降り始めていた。
曇り空ではあったが、日中は何とか持っていた。
壁の時計を見やると、既に六時を回っていた。

「こんな時間になってしまいましたか。
どうです、御手洗君。夕食を一緒にしませんかね。お礼に、ご馳走しますよ。
そうだ、ホテルのラウンジにしましょう。雨の夜景を上から見るのも良いものですよ」

女性的な物腰の教授は、学生の間で”ひょっとして、ホモじゃないのか?”と、噂されている人物だった。
以前、資料整理の手伝い後レストランでご馳走された折に、教授の口から出た言葉は意外なものだった。

「実はね、僕は女性が大好きなんですよ。特に、若い女性がね。
君たち学生の間で、僕のことをホモだと称していることは知っています。
日頃の態度から、そう思われるんでしょう。
どうもね、体格の良い学生は苦手なんです。小・中学時代は、今で言うイジメラレッ子だったんです。
この通り、小柄ですからね。それに、ナヨナヨした仕種だったので、なおのことだったんでしょう。
どうしても、引いてしまうんですねえ」

鵜呑みに出来ない彼だった。
からめ手で来るタイプだぞと、吉田に耳打ちされている。といって、正面切って断るわけにも行かない。
「そうなんですか。でも、女子にはモテられたんじゃないですか?」
と、話をそらせた。

「そうですねえ。確かに、女子にはチヤホヤされましたね。それがまた、いじめっ子にはね。
それでね、御手洗君。大学という所は、スキャンダルが一番いけません。聖職ですからね、実際。
ところが、女子学生の中には、単位欲しさに色仕掛けをする娘さんが居るんです。
名前は伏せますが、それで退職された方がおられるんですよ。
だから、予防線を張っているわけです。ハハハ」

そんな半ば自慢話じみた話を食事の間中、聞かされた彼だった。
辟易する彼だったが、愛想笑いを続けるしかなかった。
で、断りの口実としてサークルを持ち出した。
「そうですか、それは残念だ。ま、次の楽しみとしましょうか。それじゃ、部室まで一緒に行きましょうか」
このまま戻るつもりの彼だったが、こうなっては部室に行くほかはない。
道すがら教授の自慢話に付き合わされることになった。
「この年まで独身を通したのはね、釣り合いの取れるお相手が中々にねえ。
でもまだぼくは、四十前ですからねえ。
自慢するわけではありませんが、この大学では異例の出世です。
まあね、父親が他大学の学長をしてはいますがね。
見合いのお話はね、いろいろといただきましたよ。
けど、どうにも波長がねえ、合う人がいませんでしてねえ。
おっと、着きましたね。それじゃ今度は付き合ってくださいよ」
「お疲れさまでした」

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