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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空・第一部〜 (十) お酒が可哀相だ 

2015年03月06日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「うんうん、これこれ。ブラッディマリーとか言うのよね? ウォッカにトマトジュースなんだって。美味しいわ」
牧子は、驚くほどのハイペースでグラスを重ねた。
初めは、彼も牧子のペースに合わせていたが、とてものことについていけなかった。

「ボクちゃん。男のくせに情けないゾ! グッと行きなさい、グッと」
牧子の酒は絡み上戸なのか、彼に何度もグラスを空けるように急かせた。
何度も彼に抱きつきながら、時として彼の耳たぶを噛んだりもした。
彼は、牧子のあまりの豹変ぶりに驚かされた。
嬉しさよりも、哀しさを感じていた。

「牧ちゃん、ペースが速すぎるよ。それじゃあ、お酒が可哀相だ。夜は長いんだから、のんびりと行きなさい」
たしなめるようにマスターが、牧子に苦言を呈した。
「マスター? 今、何時かな」
ポツリと、牧子が呟いた。
「まだ、七時半…えっと、三十八分だな」

大まかな時間では納得しない牧子に、壁の時計を再確認しながらマスターが答えた。
牧子は、先程までのはしゃぎぶりとは打って変わって、塞いだ声で言った。
「ごめんね、マスター。今夜は、これで帰る」
この店に着いてから、一時間と経っていなかった。
彼は狐につままれたような思いで、牧子を見た。
牧子の顔はや々青白く、疲れた表情を見せていた。

「そうかい。そうだな、今夜はこの辺で終わりにしなさい。そろそろだし、ね」
意味ありげなマスターの言葉に、牧子は力無く頷きながら立ち上がった。
「お願いね、マスター」
「うん。わかってる、任せなさい」

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