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老境になって見る映画のひとつ 

2014年12月13日 ナビトモブログ記事
テーマ:シニアライフ

「25年目の弦楽四重奏」という映画を見た。

世界的に有名な演奏家として、共に活動を続けてきた四人の仲間たち。その中の一人で最年長者のチェリストが、パーキンソン病の為に、引退を考えざるを得ない、というところからドラマが始まる。

25年間という長い時間、どうやらバランスを保ってきたらしい彼らの間が、それを機にして揺らぎ始めるのだ。

ヴィオラを担当している女性は、第二ヴァイオリン奏者の妻であり、老いたるチェリストには、親代わりになって愛情深く育てて貰ったらしい。

その他にも、名門ジュリアード音楽院を卒業したプライドある彼らには、様々な時間と共に流れた複雑な関係や過去もあるらしい。

後任のチェリストを迎える問題で、それぞれの考えがぶつかり合い、その一方で若い女の子に、「第一奏者になりたいとは、思った事がないのか?」と訊かれて、それまで封印してきた「セカンドに甘んじてきた自分」という見方に自ら傷ついてしまう、第二ヴァイオリン奏者。

前に「ダウト」という映画で、神父役を演じていたこの役者さんの存在が、特に素晴らしかった。

「ダウト」で、保守的な修道女を演じたメリル・ストリープとのやり取りも、鬼気迫るものがあったが、神父や芸術家といったイメージからはちょっとはずれた彼の外貌が、何と言ってもリアリティーを感じさせていたのだと思う。

ちょっと私の中で、風間杜夫と重なった。

先日この役者さんが、亡くなったというニュースは、ショックだったなあ。薬物障害だった様な記憶がある


アンサンブルは、サイズの大小にかかわらず、全ての比重が同等であっては成立しない。それぞれの音の大きさや響きが、バランスよく調和すれば、初めてそれらの音達が一個のハーモニーとして聞こえてくる。

最後は、演奏会のステージ上で、結局皆の求めているものは一つの音楽なのだと確認する、感動的な場面で終わるのだが、物語としては予想通りの運びなのかもしれないけれど、始終BGMとして流れていたベートーヴェンの弦楽四重奏曲作品131の崇高な響きが、全てを包み込んで、静かなメッセージを老境に差し掛かった私に力強く伝えてきたのだった。



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