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地球一周の旅から10年(15) クジラ論争 

2014年11月29日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 クジラ論争は長い長い船旅の大西洋横断の時に始まった。ドンさんというニュージーランドだったか、オーストラリアだったか
今となっては記憶も定かではないのだが、オセアニア出身の冒険家が乗ってきた時の事であった。ドンさんはクジラを保護すると
言う立場からドンパ(ドンさんの水パ)なるものが出来、小スペースでのワークショップが行われていた。

 日本人にとって今は懐かしい食べ物となってしまったクジラ肉は、戦後の一時期には欠かせないものであった。従って、今の
若い世代より我々世代の方が関心は高かった。その日もワークショップが開かれ、ドンさんを囲んで大きな人の輪が出来ていた。
ドンさんの主張はむろんクジラを保護するために捕鯨は禁止と言う立場であった。

 しかし、この日の議論は白熱していた。ドンさんの主張が終わり、質問に入った途端にシニア世代、特に男性陣から矢継ぎ早に
質問が飛び出してきた。あまりの極論に腹を据えかねたと言った質問の数々であった。何しろ日本語と英語の通訳を介しての
やり取りなので微妙なニュアンスのことは容易に伝わらない。

 実は驚いたことだが、この論争から何日も過ぎてから私たちがニュージーランド南島のオーバーラウンドツアーに参加した時の
事であった。上陸時に持ち込み品の検査や靴の裏のチェックまで非常に厳しかった。理由は自然保護と言う立場からであった。
ニュージーランドでは外来生物の持ち込みチェックが想像以上に厳重に行われていることだった。

 かつてイギリス移民の一女性が持ち込んだルピナスという花が異常に繁殖した。一時、ルピナスはサザンアルプスを背景にした
絵葉書には必ずと言って良いほど写っている植物だった。この植物、よほど気候風土が原産国(アメリカ大陸)に似ていたらしく
異常に繁殖したようだ。

 この植物によって他の植物の生育環境が損なわれたのであろうか、ニュージーランド政府はルピナスの完全駆逐を行っていると
言うことをピースボートを降りてから知った。私たちが旅の途中で写真撮影した時は、今を盛りに咲いていた。それこそ雪を抱いた
サザンアルプスの峰々を背景にした写真を撮ると絵になった。しかし、自然保護を目的とする人達は、この風景を苦々しく思って
いたらしい。

 実はこんな国だから環境を守ると言うことをとても大切にしているらしい。ましてや国内では最先端を走っている環境保護者
のドンさんと意見がかみ合うはずもない。この論争の最中にはつい最近まで捕鯨船に乗っていたと言う船長さんがいた。議論は
混とんとして収拾が着かない状態になってしまった。

 恐らくクジラ肉を食してきたものと、そうでない保護者の立場では、論争はどこまで行っても平行線だったろう。ましてや
日本のように古くから捕鯨を生活の糧にしてきたものや、外来生物が入ってきても気にしない国民とでは考え方が全く異なるから
である。だからと言ってニュージーランドに環境破壊がないわけではない。人間の住むところ大なり小なり環境破壊は存在する。
そもそも人間がこの世に誕生したことこそ環境破壊の始まりであった。

 アメリカ移民の多くは明かりのために大量のクジラを捕獲し油だけを採取して海に投棄し続けてきた。ある種の鳩をゲームの
ために猟銃で撃ち殺し絶滅に追いやった。過去のこととは言え、こうした行為をどのように反省しているのだろうか。こうした
人達から、その反省を聞いたことがない。今になって声高に環境保護を叫んでいる人達は、自分たちとは関係がないと言うので
あろうか。

 さて、トパーズ号は時速30キロ足らずのスピードながら昼夜分かたず走り続け、やがて遠くの山頂に小さくキリスト像が見える
ブラジルのリオデジャネイロ沖合に着いた。いつものように入港手続きを済ませ埠頭へ着岸した。この日は朝から市内観光が始まる
ことになっていた。

 ブラジル観光で最も注意しなければならないのは手荷物の管理だと忠告されていた。うっかり相手に預けようものなら、持ち逃げ
されてしまう。どいつから掠め取ろうかと犯罪の目が光っているとのことであった。特にカメラなど高級品は要注意だった。

 こうした犯罪が多い直接の原因は貧困だった。そして、その根底にあるのは就学率が悪いと言うことであった。この国の教育は
日本のように義務教育になっておらず、従って、子供たちを学校へ通わすことが出来ない貧困家庭はいつまでたっても貧しさから
抜け出すことは出せない。無学文盲では、まともな仕事には就けないのだ。

 リオデジャネイロ市内には、こんな生活を強いられている人達が、小高い山の周辺に群がるように家を建てて住んでいる。遠目
には、その実態は見えなかったが、実は犯罪の巣窟だと言われている。この国にそのような暗闇の部分があろうとはとても思えない
くらい日差しは眩しく明るかった。

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