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パトラッシュが駆ける!

新・大阪の女(ひと) 

2014年08月29日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

「想像してたのと、大分違いました」
私は、よく言われる。
男女を問わずに、言われる。

メールのやりとりや、コミュニティへの書き込みを通じ、
知り合った方々だから、これをメル友とか、ネットモと言うのであろう。
何かのきっかけで、会うことになった。
形の上では、初対面である。
しかし、ネット上とは言え、これまでの付き合いから、
既にして、人物像というものが、形成されている。
そのイメージが、実際に会ったら、違ったと言うことだ。

「うるさいオジさんと、思ってたでしょ」
「気難しい方かと、想像してました」
言葉を変えただけで、意味は同じである。

ここで、私の問題点が、浮き彫りになる。
自分でも、それをわかっている。
私の発する、メールや書き込みが、少々理屈っぽいのだ。

もちろん、私が意図して、そうしているわけではない。
自分では、普通に書いているつもりだが、読み手がそれを、
高飛車とか、生意気とかに受け止める。
その結果として、私の本意でない、イメージが出来上がる。
実際に会った時に、驚かれる。
これしかし、仕方のないことだ。
開き直るよりない。
イメージも実物も、どちらも、私に違いないのだから。

「よかったです」
女性だと、こうも言って下さる。
安心したという意味だろう。
気難しいと思った人が、会ってみたら、くだけたおじさんだった。
確かに、この方がいい。
これが逆だと、困ったことになる。

 * * *

方向音痴という言葉があるけれど、私はこれに、該当しないと思っていた。
しかし、その自信が、最近揺らいでいる。
原因の一つは、都市の高層化、地下化だ。
大きなビルが増え、そのどれも、似たような形に見える。
ビルの陰に隠れ、太陽の位置が見えない。
そうすると、東西南北がわからない。

何年ぶりかで、横浜駅に降り立ち、そのあまりの変りように、
度肝を抜かれている。
嗅覚を頼りに、地下通路を歩き、なんとか「そごうデパート」に辿り着いた。
三時までには、会場に着くと、幹事の秀さんには言ってある。
もたもたして、その三時を、すでに過ぎている。

九階に上がった。
ここに、画廊があると聞いている。
人に聞けば早いのだが、目的地を直前に、それをやるのは、
私のプライドが許さない。
安易に人に聞くのは、恥だと思っている。

絵の羅列する、一画が見えた。
ここだな・・・
呼吸を一つ、整えてから、画廊に入った。
ここで本日、ある人と、初対面を果たすことになっている。

電彩アートとは、パソコンで描く絵のことのだ。
その展覧会である。
ネット上では、何度も見ている。
しかし、馬子にも衣裳というではないか。
額に入れられたそれは、やはり迫力が違う。

デパート内の画廊を借り切って、展覧会をやるくらいだ。
五十数人の出品作は、それぞれに上手い。
テーマは「富士山」
春夏秋冬、形も色もさまざまな富士山が、ずらり並んでいる。

この胸に、ぴんと響くものがあるかどうか・・・
私は、作品の評価を、ただこの一点に頼っている。
そうすると、あるのだ。
うーんと唸りたくなるような絵が。
だから、この展覧会は、並大抵ではない。
パソコン絵画を、侮るなかれ。
既にして、絵画の世界において、一つのジャンルを成している。

 * * *

「うれしわあ、お会い出来て」
A子さんの大阪弁は、とても品がいい。
「わあ」のところが、軽く上がり、それが何とも言えない、たおやかさを醸し出す。
「こちらこそ」
私は、平静を装いつつ、実を言えば、この初対面の女性に対し、少し上がっている。

私の中に、ある種の大阪人像があった。
特に中年以降の女性だ。
それは、大阪のおばちゃんと称され、幾つかの特異な生態が、
まことしやかに伝えられている。
彼女らは、豹柄のコートを着、バッグに飴を持ち、誰彼となく、
配るとされている。
それは「馴れ馴れしく、図々しい」けれど、言葉を変えれば、
「親しみやすく、我が道を行き、恥じることのない、自主精神の表れ」ともなる。

しかし、A子さんは、それらのどれにも該当しない。
もしかしたら人間は、欲や邪心を、絞りに絞り、捨ててしまえば、
その分、身体が軽くなるのではあるまいか。
と思わせるくらいに、スリムな体躯であり、その上に、清潔な細面が載っている。
だから私には、学校の先生に見えてならない。

その先生が、ひとたび口を開くや、流暢な大阪弁が迸る。
これが関東人には、一つの意外性であり、一瞬、はっとさせられる。
秀さん、茶子さんを交え、私達は、四人で飲んでいる。
A子さんは、今朝大阪からやって来て、展覧会場に詰め、
今夜は、近くのホテルに泊まると聞いている。
だから、時間を気にしなくていい。

絵の話になる。
パソコン絵画は、ツールとして、パソコンを用いるけれど、勝手に、
ツールが描いてくれるわけでもない。
技量がものを言い、そして対象を見るところの、
目が問われるところは、世にある、他の絵画と、何も変わらない。

A子さんの絵では、特に、人物画に味がある。
例えば、お孫さんを描いた絵では、その姿に、慈愛というものが、
匂うがごとくに、溢れている。
「絵は人なり」
つくづく思う。

A子さんはまた、文章家でもある。
人並み外れ、気風のいい散文を書く。
漢籍にも通じていると見え、時に、適切なる漢語を振りかざし、
世相を一刀両断したりする。
彼女をこそ、才女と呼ぶべきであろう。

但し、らしくない才女だ。
取りすまして、近寄り難い・・・なんてことがない。
その大阪弁のせいだ。
立て板に水の如くであり、そこに、何とも言えない、親しみが湧く。

茶子さんは、神戸の出身だ。
二人の、関西弁による掛け合いが、これまた楽しい。
私と秀さんは、こうなると、影が薄い。
あずま男は、寡黙をこそ、良しとするところがある。
彼女らの間隙を縫い、辛うじて、口先介入を試みている。

イメージと違う。
それは、お互い様だ。
良い方に違っていて、よかった。
これが逆だと、困ったことになる。

横浜ランドマークタワー、七十階からの夜景は、美しいのだが、
私は、ほとんど見る暇がない。
どちらが北か南か。
当然のように、わからなくなっている。

「今日は、お会い出来て、よかったです」
「ほんま?うれしわあ。そう言っていただけると」
大阪弁の、抑揚のせいかもしれない。
私は、大阪の女性が、心から好きになりつつある。



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無駄話も・・・

パトラッシュさん

トパーズさん、
がっかりされた方が、多かったですか・・・
私は逆で、想像した通りか、むしろ期待以上のケースが、多かったです。
これ、仕事と遊びの違いかもしれませんね。
遊びだから、いろいろな話を、本音で語っていますので。
一見、無駄話と思われることが、無駄でなかったことになります。

2014/09/02 12:12:54

ギャップ

トパーズさん

在職中は、電話やメールなどで
用件を済ませることが多く、実際に
お会いして、想像していた風貌との
違いに驚いたことも数えきれません。
大抵の場合は、がっかりする方が
多いですが、パトさんの場合は
良い方に転んで、これから楽しみが
増えましたね。

2014/09/02 00:30:31

同志を募り

パトラッシュさん

喜美さん、すみません。
簡単に言えることを、わざと難しく言う。
そうしては、生意気のイメージを作ってしまい、
それが会った時に、驚かれる原因になるのです。
正に、その悪癖を、地で行くようなことをやっています。

糾合=寄り集まること。
「同志が糾合し、決起した」という風に、使います。

喜美さん宅に押し掛けようとする「同志」は、今のところ、数名です。
30名は、少し無理かなと思います。
集めても、精々、10名くらいですが、それもやめておきましょう。

大勢集まると、喜美さんとお話する、一人あたりの時間が、限られてしまいます。
数名で、じっくりと、人生の先輩である、喜美さんの薀蓄を聞く。
この方が、良いと思われます。

さて、その日時は・・・
これが今のところ、決まらないのです。
同志とは言え、実態は、烏合の衆ですからね。
それで困っています。

2014/08/30 14:25:16

糾合

喜美さん

難しい言葉最近聞いたこともないの
学者は困る 言葉が難しい 馬鹿と付き合うときはバカに合わせてね
誰でも何人でもいいわ まさか30人はいないでしょう 
この前私の兄弟一族23人食事しました
兄弟子供孫まで 6日に又やりますけれど 妹の家族が旅行で欠席で其れに我が家も娘が初孫でまごまごしていますから14人くらい集まります
此れも楽しいわ  お待ちしています

2014/08/30 13:26:52

今度は串揚げで・・・

パトラッシュさん

秋桜さん、
小さくならないで下さい。
ほぼ、実物の通りに、描いたつもりですので。

大阪の女性への、見方が変わりました。
天にも昇るような、横浜の一夕でした。
(確かに七十階は、天に近い)
またの機会を、楽しみにしております。

2014/08/30 08:46:04

かくも盛大に

秋桜さん

「ナビのドンさま」に、粗食をごちそうに
披瀝していただき、小さくなっております^^

横浜の夜は、素敵なひとときでした。
饒舌になるのは心底、敬愛申し上げて
いるからですよ〜〜〜


そうそ、「東のエレガント嬢」にも、一度
お目もじしたいものです。
ドンさま、セッティングよろしく〜〜(笑)

2014/08/30 07:08:09

SOYOKAZEさん

パトラッシュさん

左様でござりました。
ご対面でした。
でも、どっちが勝つか・・・
(お喋りとお酒)
見てみたいなあ・・・

2014/08/29 19:09:01

邂逅でしょう?

さん

師匠! 対決では巌流島の宮本武蔵と佐々木小次郎ではないですか。(笑)

大阪の女(ひと)も東京の女(ひと)も、お酒の強さは兎も角、エレガントなんですよ〜(笑)

2014/08/29 18:02:52

後出しジャンケン

パトラッシュさん

風香さん、
私はじっと、タイミングを計っておりました。
皆さんが、どう書くか、それを確かめてからにしようと・・・
これって、少しずるいですね。(笑)

2014/08/29 17:08:25

人には会ってみよ

パトラッシュさん

喜美さん、そうでしょ。
予想した人とは、違いましたでしょ。
だから、人には会ってみなけりゃ、いけません。

今度、何人か糾合して、喜美さんのところへ、
押しかけたいと思います。

2014/08/29 17:05:43

才女vs.才女

パトラッシュさん

SOYOKAZEさん、
その通りです。
大阪のひとの、普段の姿を、覗いてみたい気もします。

お二人を、一度会わせたいものです。
しゃべらせたら、SOYOKAZEさんだって、
むざむざ、負けはしませんよ。
そして、お酒も・・・
美貌も・・・

嗚呼、東西の対決を、見てみたいものです。

2014/08/29 17:01:43

始めまして・・・

パトラッシュさん

アルゴンキンさん、
ありがとうございます。
山口瞳は、私が勝手に、師と仰ぐ人です。
似ていると言われると、私はもう、天にも上ったような気になります。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

2014/08/29 16:53:13

大阪恋しや

パトラッシュさん

彩々さん、
私は先月、大阪に行き、道頓堀の辺りを歩きました。
大変に、けばけばしい町でした。
あの町を歩くには、やはり、キンキンギラギラの服装の方が、似合うようです。

大阪の、と限らず、関西の女性とは、話していて、
大変おもろいです。
あー、また行きたくなって来た・・・

2014/08/29 16:50:02

ありがとうございます

パトラッシュさん

季秋さん、
ようやく夏が終わり、季秋さんの季節が、やって来ましたね。

拙文をお読み頂きまして、ありがとうございます。

何時もこんな、取りとめのない文を書いております。
またどうぞ、お立ち寄り下さい。

2014/08/29 16:44:17

わかりませんが・・・

パトラッシュさん

マリーさん、
私は、人を見る目に、自信がありません。
予想することもです。

マリーさんのことも、まったくわかりません。
ただ、歌声だけは、なんとなく想像が出来ます。
落ち着いた声だと思います。

2014/08/29 16:41:25

準ですか・・・

パトラッシュさん

たんぽぽさん、
私は、「純」の方が、よかったのですが、まあ、準でも、良しとしましょう。(笑)

確かにそうですね。
マスコミが、面白おかしく、作り上げているのだと思います。

2014/08/29 16:38:17

4人様

さん

4名様、すべてブログアップ終了しました?

師匠の筆の滑らかなこと・・さすがですね^^

2014/08/29 16:08:42

大阪の人

喜美さん

テレビが強烈ですもの私も思っていました 大阪の人 飾り気がなくてお人よしそんな感じもします 
身内もないし 本当の大阪の知るには知識がなさすぎるわ

彼女は私の大阪の人とは違いました
長くお会いしたわけでは無いけれど
PCの知り合いも勿論違うでしょうね
この婆さんもどうみられているやら

2014/08/29 15:54:07

手に取るように

さん

滑らかな文章をするすると読み進めると、その場の情景が浮かんで来ます。
A子さんの魅力、電彩アートの奥深さも、そして喋らせたら東京人は大阪の女性には敵わないのでしょうね〜とも。
彼女が本拠地大阪に帰った、普通の生活を覗いてみたいな〜と興味が湧きました。
東京の中の大阪の女(ひと)と大阪でのその女(ひと)。
興味があるのは惹かれたという事です。

2014/08/29 15:33:52

筆者は山口瞳さんですか?

アルゴンキンさん

読み始めてみると、愛読した作家『山口瞳さんが投稿してきた』の?と思わずにいられません。

にやりとしたり、成程と感じたり、パトラシュさんは、なかなかイカシマスね!

2014/08/29 14:04:33

ククク、、、

彩々さん

おっしゃりたいことがよ〜く解ります。
PCの前で大笑いしながら読ませて
いただきました。

いずれにしても、パトさんの関西、とりわけ
大阪のオバちゃんの評価が上ったことは
喜ばしいことです。

よく言われる豹柄も金々、ギラギラの
小物なども大阪の風土では、とてもマッチ
するんですよ。
不思議と溶け込んで目立たないのですよ(!?)

関西人はパワーのお裾分けが当たりまえで、
愛も労力を惜しみませんのよ。

2014/08/29 13:17:54

捉え方の巧みに脱帽です

さん

新参ですが古い大阪を知る年寄りです。

的確な観察力とペンの跡に小さな感動を覚えました。

大阪のおばちゃんにも様々な顔があり、三都(京阪神)

でも違いがあります。貴下の作品に新しいオオサカの女

が生まれるかも知れませんね。

愉しく拝読致しました。初心者ですご無礼ご容赦下さい。

2014/08/29 13:00:34

イメージ

さん

人のイメージというものは違っていることが多いみたいです。

先日このナビで知った方とお会いしたところ、その方曰く私のことは「もっとはっきりものを言ってちゃきちゃきしてる人だと思っていた」と言うのです。
「実際会ったらおっとりしておとなしいので驚いたわ」と言われました。

私もその方のことはもっと和風で控えめな感じを勝手にイメージしていましたが、お会いしたら洋風で積極性があるので驚きました。

私はおとなしいです。

2014/08/29 12:47:06

準大阪のおばちゃんですが

さん

純粋ではなく、準です(^_^;)
豹柄は着ていませんし、飴ちゃんも持っていません。貰ったこともありません。

全くいないわけではありませんが、マスコミが作り上げた、大阪のおばちゃん像ですね。

2014/08/29 12:13:12

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