メニュー
最新の記事
テーマ
カレンダー
月別
- 2020年02 月( 4 )
- 2020年01 月( 5 )
- 2019年12 月( 4 )
- 2019年11 月( 5 )
- 2019年10 月( 4 )
- 2019年09 月( 4 )
- 2019年08 月( 5 )
- 2019年07 月( 5 )
- 2019年06 月( 5 )
- 2019年05 月( 4 )
- 2019年04 月( 4 )
- 2019年03 月( 6 )
- 2019年02 月( 4 )
- 2019年01 月( 4 )
- 2018年12 月( 5 )
- 2018年11 月( 4 )
- 2018年10 月( 5 )
- 2018年09 月( 6 )
- 2018年08 月( 4 )
- 2018年07 月( 4 )
- 2018年06 月( 6 )
- 2018年05 月( 4 )
- 2018年04 月( 4 )
- 2018年03 月( 5 )
- 2018年02 月( 4 )
- 2018年01 月( 4 )
- 2017年12 月( 5 )
- 2017年11 月( 5 )
- 2017年10 月( 4 )
- 2017年09 月( 5 )
- 2017年08 月( 4 )
- 2017年07 月( 5 )
- 2017年06 月( 4 )
- 2017年05 月( 4 )
- 2017年04 月( 5 )
- 2017年03 月( 4 )
- 2017年02 月( 4 )
- 2017年01 月( 4 )
- 2016年12 月( 6 )
- 2016年11 月( 4 )
- 2016年10 月( 5 )
- 2016年09 月( 4 )
- 2016年08 月( 4 )
- 2016年07 月( 5 )
- 2016年06 月( 4 )
- 2016年05 月( 4 )
- 2016年04 月( 5 )
- 2016年03 月( 4 )
- 2016年02 月( 4 )
- 2016年01 月( 5 )
- 2015年12 月( 4 )
- 2015年11 月( 4 )
- 2015年10 月( 5 )
- 2015年09 月( 4 )
- 2015年08 月( 4 )
- 2015年07 月( 6 )
- 2015年06 月( 3 )
- 2015年05 月( 5 )
- 2015年04 月( 4 )
- 2015年03 月( 4 )
- 2015年02 月( 6 )
- 2015年01 月( 5 )
- 2014年12 月( 4 )
- 2014年11 月( 6 )
- 2014年10 月( 5 )
- 2014年09 月( 4 )
- 2014年08 月( 6 )
- 2014年07 月( 4 )
- 2014年06 月( 5 )
- 2014年05 月( 6 )
- 2014年04 月( 7 )
- 2014年03 月( 4 )
- 2014年02 月( 3 )
- 2014年01 月( 6 )
- 2013年12 月( 6 )
- 2013年11 月( 6 )
- 2013年10 月( 8 )
- 2013年09 月( 5 )
- 2013年08 月( 7 )
- 2013年07 月( 7 )
- 2013年06 月( 6 )
- 2013年05 月( 6 )
- 2013年04 月( 4 )
- 2013年03 月( 6 )
- 2013年02 月( 5 )
- 2013年01 月( 5 )
- 2012年12 月( 7 )
- 2012年11 月( 1 )
- 2012年08 月( 5 )
- 2012年07 月( 4 )
- 2012年06 月( 5 )
- 2012年05 月( 4 )
- 2012年04 月( 4 )
- 2012年03 月( 5 )
- 2010年07 月( 5 )
- 2010年06 月( 5 )
- 2010年05 月( 4 )
- 2010年04 月( 7 )
- 2010年03 月( 4 )
パトラッシュが駆ける!
その恰好は
2014年08月15日
テーマ:テーマ無し
「あ、おっぱいが見えてるー」
U子が、私を見るなり、笑った。
そう言えば、男にだって、小さいけれど、乳首がある。
それが、ランニングシャツから、透けて見えても、
私達は何の感慨も持たないが、子供の目には、確かに、
おっぱいであろう。
私達は時に、見えているものを、見えないことにしてしまう。
しかも孫だから、遠慮も何もない。
時に「じじ、きらいー」と叫ぶくらいの子である。
彼女のボキャブラリーに、もし「みっともない」があったら、
きっとそれを、私のランニングシャツ姿に対し、用いるだろう。
それは下着であり、家の外で、着るものではないという認識は、
小学一年生の、彼女の中にも、既にして、あるに違いない。
「あっ」
私は、両の掌でもって、さながら女がやるように、自分の胸を覆ってやった。
咄嗟のことであり、どう返事をしていいか、分からなかったからだ。
方法は、もう一つある。
「男のおっぱいは、見えても恥ずかしくないんだよ。
お相撲さんをご覧。あんなに大きくても、隠してなんか、
いないでしょ」
こう説明する方が、正しかったかもしれない。
しかし、どうでもいいことだ。
彼女は、じきに成長する。
それと共に、見えても、見えないことにするものが、増えて行くに違いない。
* * *
私は、クーラーが嫌いだ。
日常を過ごす、囲碁サロンにおいて、私は窓を開け放ち、
ショートパンツにランニングシャツ姿となり、暑さを凌いでいる。
問題は、客の来た時だ。
「ちょっとお待ちください」
衝立の陰で、あわててシャツを着込む。
そして、クーラーをつける。
困るのは、客がさみだれ式に、来る場合だ。
一人帰り、やれやれと、略装になって間もなく、次の客が来る。
慌てて着込む。
クーラーをつける。
これの繰り返しになる。
いっそ、開き直り、取り繕うのを止めようかと思ったりもする。
しかし、出来ない。
私は仮にも、生徒の皆さんに碁を教える、先生である。
先生が、下着姿では、どうにもならない。
示しと言うものが、付かない。
しかも最近は、女性の生徒さんが、増えている。
彼女らに、私の乳首を見せてはならない。
* * *
昔、私の店の向かいに、古道具屋があった。
店主は高齢であった。
夏になると、ランニングシャツに、ステテコ姿で過ごしていた。
朝起きるとから、夜寝るまでである。
その恰好で、店番もすれば、リヤカーを引き、
品物の引き取りなどにも行った。
買い物にも行き、銀行へさえ行った。
世間の人々も、これを異様とはしなかった。
クーラーの普及していない時代であり、その住まいが、
今にも崩れ落ちそうな、木造家屋だったこともある。
さらに相手は、枯れ木のような、年寄りである。
その肉体の、何処が見えようと、感慨を催す者とていない。
かくて、その恰好は、天下の認めるところとなり、
商店街の風景の中に置いて、違和感のない点景となった。
世間の目を気にせず、自然体で生きる。
それは、彼の達した、一つの境地であったかもしれない。
垣間見たところでは、恵まれた生活とは、言い難い。
しかし、飄々と、何を嘆くでもなく、日々を過ごすその姿には、
時に優雅をさえ、感じさせるものがあった。
あんな風に生きるのも、悪くないな・・・
私も、歳を取ったら、やって見ようかと思った。
* * *
思っただけだ。
歳を取ってはみたものの、私には、勇気がない。
世間の皆さんの前に、既成事実を積み上げるだけの、根気もない。
そして何より、時代と言うものが、変わってしまっている。
ランニングシャツとは名ばかり、今や完全に、下着となり果てている。
今時の、ジョギングしている者を、見るがいい。
誰もが、カラフルで立派な、ウエアを纏っている。
街もまた、豊かになった。
舗道から街路灯まで、清潔で、美しくなり、その風景の中に、
ランニングシャツ姿の男を、溶け込ますなど、
どんな画家であっても、不可能であろう。
仕方ない。
私は、私の書斎でもあるサロンで、客の来ない時間だけを、
略装で過ごしている。
限られた自由である。
ほんのかすかな、優雅である。
「その恰好で、外に出ないで下さいね」
妻からも、釘を刺されている。
「山下清に間違われますよ」
極めて古い人間を、例えに出す。
「あのねえ・・・」
下手な冗談だと、言ってやる。
ランニングシャツ一枚で、全国を放浪した画家、山下清のことなど、
今や、知らない人が多いのだぞと。
そう言えば、彼を演じた、芦屋雁之助だって、死んでからもう、随分と時が経つ。
コメントをするにはログインが必要です
夕涼み よくぞ男に 生まれける
喜美さん、
旦那さんも、同じでしたか。
ランニングシャツ愛好者が、多ければ、肩身の狭い思いをしなくても、済むんですがね・・・
昔はよかったです。街中を闊歩することが出来て・・・
2014/08/16 08:38:47
けじめが必要かな
男だから 半身 裸でも良いし ランラングもまた良しです
ただ客の前は厳に慎みて多少のけじめはあるべしと思います
先生と生徒でも然り 友達ではありません
やはり多少の威厳は必要かと・・・
2014/08/15 21:43:17
ランニング
男性の胸なんか気にもしなかった
主人ランニングに短パンでした
ゴミ出しに行く時私注意しましたけれど 守るような人ではなかったです
私は家に居る時ユニクロの綿の短パンとティーシャツです 夜も今はパジャマ着ないでこの格好です もし地震や何かで外に出たときパジャマより
良いかと思いました
2014/08/15 16:11:09
ご心配なく
SOYOKAZEさん、
夢は壊れません。
男でも女でも、四角四面に生きてはいけません。
何処かで、息を抜かなければ・・・
SOYOKAZE邸を訪問する際は、到着時間を、
お知らせしてからといたします。
1時間も、余裕を見れば、よろしいでしょうかね・・・
2014/08/15 12:25:02
街の景色が
随分と変わりましたねぇ・・
昔は縁台将棋をさす伯父さんは皆ランニングシャツにステテコ、足元はちびた下駄が相場だったのに。
(実際、私が見た光景ではありませんが、昭和の象徴みたいな光景だと感じています)
男性の乳首を意識した事はありませんが、暑い夏に蒸れて窮屈なブラジャー無しで暮らせて羨ましいといつも思っています。
友人は綿素材の部屋着なら目立たないわよと・・・
かくいう私は外出先から帰るやいなや手を洗う前にかの窮屈極まりない物を脱いでスッキリしますが、師匠と同じ、来客があると慌ててつけたり、間に合わない時には首からタオルを掛け、その先をTシャツの胸元に入れてごまかします。
女性に対する夢を壊してしまったらごめんなさい(笑)
これは、私一人の悪しき習性ですから。
2014/08/15 10:57:56
ただ、ただ
笑わせていただきました。 ありがとうございます。
海水浴場のある街中を水着姿で歩く人がいれば、自宅で下着姿は違和感。
生き辛い世の中になりました。
ただ、お孫さんと、女性にはご注意ください^^
2014/08/15 10:43:28