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パトラッシュが駆ける!

柔よく剛を 

2012年08月03日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

柔よく剛を倒すというけれど、そんなことはない。
剛が剛を倒すのである。
それも闘争心の強い方が勝つ。
オリンピックの柔道を見ていて、つくづくそれを思った。

組み手争いが、延々と続く。
5分の試合時間の、大半が、これに費やされる。
少し揉み合ったかと思えば、すぐに「待て」がかかる。
国際試合でも、日本語が通用するので、悪い気はしないが、
そんなことに、喜んでいる場合ではない。

これほど中断の多いスポーツが、他にあるだろうか。
何とかならないものかと思う。
そして勝負の決着は・・・
これがどうも、すんなりとは行かない。

テレビで解説者が言っていた。
「選手が上手になり、投げられても、容易に背中から落ちないようになったのです」
つまり、技が決まり難くなっているそうだ。

その結果「指導」が多い。
昔はこれを、「教育的指導」と言った。
聞こえはいいが、実はもっと戦え、攻勢に出ろとの命令である。
もっと言えば、懲罰だ。
消極的だとして、即、減点なのである。

「指導」を受けた末に負ける。
それで試合は終わる。
いやはや、なんとも、すっきりしない。

そんなに文句たらたらなら、見なけりゃいいのだが、
しかし、つい見てしまう。
「がんばれよ、もっと攻めろ」
日本人選手に向かい、声をかけていたりする。
これつまり、柔道に魅力がまったくないわけではないからだ。
緊迫感なら、十分にある。
何しろ、剛と剛の対決である。

 * * *

私の近所に、長く柔道をやっていた男、Fが居る。
体格がいい。
長身で胸が厚く、腕も長い。
喧嘩になったら、さぞ強かろうと思われた。

これが路上で、少し年長の男、Kと話をしていた。
「老け込むのは早いですよ。やりましょうよ、柔道」
言われたKも、負けず劣らずに体格がいい。
「行ってみるか」
「そうですよ。畳の上はいいですよ」

学校か何かの、先輩後輩と思われる。
二人の間には、信頼というものが流れ、
それは傍目にも、いい光景であった。

それから数年が過ぎてのことだ。
Fの様子がおかしい。
前傾姿勢で、足の運びが覚束なく、今にも転びそうだ。
風を切って歩いた、かつての颯爽たる姿は、もうない。
どうしましたと聞いたら、何とかと言う、
カタカナの病名を言った。

前後して、Kの方も身体が不調になった。
ステッキに頼るようになり、やがてそれを、
両手に持つようになった。
それが何年か続き、今度は車イスになった。
身体の大きな男が、これに乗ると、余計に哀れに見える。

屈強な彼らでも、病魔からは逃れられない・・・
軟弱男の私には、内心少し、ほっとするところがあった。
だらだら生きるのも、まんざら捨てたものではない。
柳に風の喩えもある。
なまじ剛でない方が、折れにくいのかと思ったりもする。

 * * *

柔道がJudoになってしまった。
こう嘆く日本人が多い。
FもKも、きっとそう思っているであろう。
しかし私は、やったことがないせいもあり、
それほどの感慨もない。
憂慮もしていない。
ボクシング、レスリングなど、他の格闘技に近づいただけと思っている。

審判員の判定で、もめたりしている。
ジュリーなんてのが突然顔を出し、
一旦下した判定を、取り消させたりしている。
いかにも場当たり的であり、ああ、日本的光景だなあと、
思ったりもする。
柔道の、こと試合に関しては、何もかもが、
発展途上なのだと、こう思っている。

四年後のオリンピックまでには、またルール改正がなされ、
審判を含め、何かが変わっているだろう。
こんなこっちゃダメだ・・・
ぶつぶつ言いながら、私はまた、柔道を見ているかも知れない。



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そうですね

パトラッシュさん

今回は、皆さんが、同じ思いのようです。
中には、オリンピック種目から、外してしまえというのも。
日本柔道、この事態を、深刻に受け止めねばなりますまい。

2012/08/06 19:25:02

柔道

hanahanaさん

私は柔道の試合を見るのが大好き。
だけど今回はイライラすることが多かった。
もっと、スカッとした試合を見るのは無理なのかな。

2012/08/06 17:20:48

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