メニュー

最新の記事

一覧を見る>>

テーマ

カレンダー

月別

パトラッシュが駆ける!

もしかして霊能者? 

2012年03月30日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

散歩の途中で、末さんに会った。
帽子を被り、マスクをして、何時もの末さんらしくない。
それでも私は気付いた。
「あっ」と声を上げたら「おっ」と来て、それから「やあやあ」となった。

同じ西荻窪の住人である。
会ったって、何の不思議もない。
しかし、家は線路を挟んで、一キロ離れている。
生活圏が違うのだから、会わなくても、不思議ではない。

あっと思ったのは、私がその直前に、末さんのことを思っていたからだ。
しばらく来ないなあ・・・
まさか、碁を止めたわけでもなかろうに・・・
その白髪と、目尻の下がる笑顔を、まさに思い浮かべていたところであった。

「散歩ですか」
「ええ」
「明日辺り、行っていいでしょうか?」
「どうぞどうぞ」
たちまち、碁の約束が成立してしまった。
そうなのだ。
末さんは、私の囲碁サロンの常連、もっと言えば、ライバルなのである。

思い浮かべた途端に、その相手が現れた。
これを単なる偶然と見るか、何かの力が働いていると、こう捉えるかである。
私は、物事を深く考えるのが、面倒くさいものだから、前者である。

考えてもきりがないことは、簡単に割り切ってしまった方がいい。
思い返せば、仕事も結婚も、そんなようなものであった。
人生そのものが、場当たり的であった。

 * * *

去年の三月十一日、妻は新宿の繁華街を歩いていた。
突然に、道行く人々の顔から、生気が消えたのだそうだ。
「モノクロームみたいな感じなの」
「写真のネガか」
「そう、みんな青白いの。この人達、どうしちゃったのかしらと思った」

激しい揺れが来たのは、それから程なくしてだった。
後は、世間の人々と同じである。
電車が止まった大混乱の中を、妻はバスを乗り継ぎ、やっとのことで帰って来た。

話が、出来過ぎている。
しかし、まんざら嘘でもないだろう。
これが困るのだが、もともと妻には、勘の鋭いところがあった。
私に、女性の友人が居るとして、そこに恋慕の情があるか否か、この辺を
嗅ぎ分けるのが、実に鋭いのである。
だから私は、浮気なんか出来るものじゃないと、とうに諦めている。

それにしても、地震を予知したことになる。
妻にそんな能力があるとは、にわかに信じ難い。
しかし、もし事実ならえらいことだ。
これを人類のために役立てたいと思う反面、空恐ろしい気がしないでもない。

今までにも、些細なことはあった。
私が末さんに会った、そのようなことである。
不満なのは、それが何時も、事後報告であることだ。

「そんなことを言うんなら、会う前に言いな」
結果論なら誰でも言えじゃないかと、こう突き放している。

 * * *

霊能を有する者が居て、それがマインドコントロールなるものを、行うのだそうだ。
たまたま、その “被害者”が、名の知れたタレントだそうで、
テレビをつければ、その話題ばかりだ。
もうウンザリしている。

人間は、科学で解明できない、何かを持っている可能性がある。
それに頼りたくなる人の気持も、わからないではない。
頼ることにより、頼らない人よりも、社会生活において、
有利な地歩を築けるからだろう。

しかし待てよだ。
世の中に、一方的にいいことなんかない。
頼ることにより、失うものもきっとあるはずだ。
さながら、よく効く薬が、両刃の剣のように、身体の他の部分に、
害を及ぼすようにである。

私は、薬嫌いであり(ついでに医者もだが)、なるべくなら、飲まないようにしている。
同様に、占いの類も、敬して近寄らぬようにしている。
手相、人相、星占い・・・
どれ一つ、見てもらったことがない。

なあに人生は、ちょぼちょぼじゃないか・・・
一瞬は、世間を出し抜いたように見えて、終ってみれば、ただの人であった例を、
数多く見て来た。
私はもとより、ちょぼちょぼで結構。
欲を振り落として眺めれば、この世は案外な極楽にも見える。

お前は、恵まれているから、そんな事を言う。
世の中には、気の毒な境遇の人たちも、たくさん居るんだ。
それを考えてやれ。
すぐに言われる。

「はい、さようで」
私は、逆らわないようにしている。
霊感でも何でも、好きにやっておくれと思っている。
件のタレントさんにも、さらさら同情していない。
いい大人なんだから、しっかりやってよと思っている。

 * * *

妻はその後、何も言わない。
周辺において、奇異なることも、一切起きない。
妻は多分、霊能者なんかではないだろう。
これでいいと思っている。

しかしながら、この世には、万一ということがある。
「あなた、窓の外が変なの」
「どうした?」
「お日様がほら、黒く見えるでしょ」

ある日突然に、妻がこんなことを、言い出さないとも限らない。
私は小心者だ。
ぎゃっと叫んで、きっと右往左往するだろう。
予知なんか要らない。
今まで通りでいい。
結果論だけの方が,幸せということもある。



拍手する


コメントをするにはログインが必要です

女の方が・・・

パトラッシュさん

我太郎さん、おたくもそうですか?
一般的に、女の方が、霊感鋭いと言われているようですね。
あまり惑わされない方が、いいようです。
お読み頂きまして、ありがとうございました。

2012/04/01 07:31:37

第六感

我太郎さん

面白く拝読させて頂きました
我が女房殿も似たようなものなんです
変な夢を見た
変な音を聞いた
誰かが覗いているようだ
時々当たるんです
本人は霊感が鋭いと本気で思っています
私は科学では解明出来ない何か分からないものが有るとは思っていますが、霊感は信じていません

>今まで通りでいい。

これが1番です

2012/03/31 18:34:22

PR







上部へ