読書日記

『はしからはしまで』 <旧>読書日記1577 

2024年04月10日 ナビトモブログ記事
テーマ:<旧>読書日記


梶よう子『はしからはしまで』新潮文庫

みとや・お瑛仕入帖シリーズの3冊目。

「水晶のひかり」:元花魁のお花長屋に住む浪人の菅谷直之進とが祝言を挙げる話で始まるが、この話の中で意外な展開が起こる。
「引出しの中身」:頑固な指物師の徳右衛門が仕事を辞めた訳。お瑛は徳右衛門の弟子の六助と徳右衛門の二人が再び師弟となる間を取り持つ。
「茄子の木」:小物を盗む老婆がいて、手配書が回っている。鳶の親方才蔵の母親であるが、その才蔵の手下と船頭辰吉とに因縁が出来た、辰吉は単身才蔵の元へ乗り込む・・
「木馬と牡丹」:元花魁のお花がこっそりと生き別れの兄を探している。一方で兄の友人だった呉服屋の寛平がお瑛に代わって仕入れてきた櫛が縁を繋ぐかもしれない・・
「三すくみ」:蛇。蟇、ナメクジの飾り金具がついた指物をとある船宿の隠居が買った。その隠居は船宿ではなく妾と住んでいるが、嫁が蛇で隠居が蟇、妾がナメクジの三すくみだというもっぱらの噂。この三すくみはどうなるのか。
「百夜通い」:良く当たるという評判の占い師おきくにお瑛は占って貰う。若夫婦が子供の死をきっかけに離縁、諦めきれないぐうたら亭主によってそのおきくが客の一人に刺されてしまう。

両親を亡くしたあと、兄とともに始め育ててきた「みとや」とお瑛を揺さぶる出来事が起こる。お瑛はひとりで商いを切り盛りすることになり、兄・長太郎が残した仕入帖を開き、小間物屋や工房を訪ね歩く。その中でお瑛の知らなかった長太郎の姿が描かれ、お瑛の痛みも少しずつ消えていく、という1冊であった。

だが、これで「お瑛仕入帖」というシリーズの名前が意味を持つようになるのかも知れないし、この作品以来3年間続編が出ないことからするとシリーズはこれで終わりかもしれない。
(2021年10月2日読了)



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