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読書日記
『旗本金融道(一)』 <旧>読書日記1571
2024年03月27日
テーマ:<旧>読書日記
経塚丸雄『旗本金融道(一)』双葉文庫
「銭が情けの新次郎」という副題のついた本で、著者紹介によれば、中央大学卒業後、脚本家として活躍。おもな担当作品に映画「鴨川ホルモー」「連弾」「雲の学校」「THE LAST NARUTO THE MOVIE」などがある。本作「旗本金融道」が時代小説デビューとなる、期待の新鋭。ということである。
話の内容は
正義漢だが無学単細胞の安藤新次郎は、旗本の次男坊。急死した叔父の末期養子として、母の実家の家督を継ぐことになった。その榊原家、家禄180俵の小普請ながら、なぜかとても裕福。それもそのはず、実は榊原家は「義理欠く、見栄欠く、情け欠く」を座右の銘とする祖父源兵衛の指揮のもと、裏稼業で「金貸し」を手広く行っていたのだ。
榊原家に養子として入って見れば、食事は粗末で立った数日食しただけで旧知の友にやつれたのでは無いかと言われるような家である。奉公人はすべてそろばん勘定しか出来ぬものばかりで、金を回収に行く奉公人を新二郎が護衛するという主客転倒である。しかも、何故か家には百両の質草として美人の姉妹がいて、義理の父が妹の加根に手をつけ、姉の小夜を競売に掛けるというとんでもなさ。新二郎にも札差の娘との縁談が巻き起こる。
終盤では急死したとされる叔父を殺した男が判明し、仇討ちを目論む新二郎は、実家の父や弟を巻き込んでの二十人余りが榊原家で戦いを繰り広げるという荒っぽい筋書きである。とは言え、話の運びは澱みなく、場面場面の面白さはさすが脚本家である。
この本を知ったきっかけは著者の経塚丸雄は「三河雑兵心得シリーズ」の著者である井原忠政の別のペンネームだと判ったことにある。で、amazonで検索したら売価1円、送料257円の計258円で売られている。という訳で購入した。読み終えて、第2巻を調べたらほぼ定価の680円と同じ価格でしか入手出来そうも無いので、2冊目を読むかどうかは考慮中である。
(2021年9月13日読了)
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