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筆さんぽ
モームの警句
2024年03月19日
テーマ:筆さんぽ
サマセット・モームは警句(格言のようなもの)の名人で、さまざまなことについてずいぶんたくさんの卓抜な言葉を残している。
そのうちの一つにこういうのがある。
「外国語が読めても外国人のことはわからない。外国語が話せても、わからない。………。外国人を知るには文学によるしかない。それも一流の文学ではなく、二流の文学である」
このあとに
「ロシア人を知りたければドストエフスキーではなくて、チェーホフである」とつづくのであるが、
ぼくは、チェーホフを二流の人と思っていないので、モームの警句全体に疑問をもってしまった。
タイのチャオプラヤー川に沿った屋台で、タイのウイスキーを飲みながら、落ちる夕日に心さわいだことを思い出した。
茜色に燃え上がる川面を見つめながら、タイ人のAさんのことを思い出していた。
仕事で出会ったAさんは、
「大声で罵り合うのは恥ずべきことでタブーである」
「あなたのことを罵ったり、非難する者はそのままにしておきなさい。反論などするのは、みっともない。仏さまがほんとうのことを知っている」
「食事は『一粒も残さず』すべてを食べることはない。犬のために残してもよい。ただ、茶碗に口をつけるのは恥ずかしいことである」などなど。
とても警句といえるものではないが、その国の人と接するときには役に立つ。
ぼくは、文学からではなく、
たわいのない雑談のなかでおそわった。
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