読書日記

『女流阿房列車』 読書日記339 

2024年02月29日 ナビトモブログ記事
テーマ:読書日記


酒井順子『女流阿房列車』新潮社(図書館)

図書館の棚を見て居るうちに発見して借り出した本。阿房列車と言えば内田百閧ェ嚆矢で、「何の用事もなくただ汽車に乗るために出かける」を旨とする。このシリーズは有名であるが、残念ながら私は読んだことが無い。しかも、ここに書くために調べるまで、内田百閧ヘ戦前の人だと思い込んでいた。なんと、1950年に阿房列車は走り出しているのであった。

宮脇俊三(北杜夫の親友でもあり、私は北杜夫を通じて知った)もまた「最長片道切符の旅」などで知られるが、この本の著者である酒井順子は中学時代から宮脇の大ファンであったそうである。かくて、いまや多くの「乗り鉄」が存在し、各種の記録を残しているのである。

さて、この本の内容案内では
電車に揺られてうとうとが大好きなゆる女子鉄の著者が、鉄人編集者のマニアックでむちゃぶりな鉄道旅プランに身を投じ、線路の果てまでいざ出発。東京メトロ全線を一日で完乗、鈍行列車に24時間、東海道五十三回乗りつぎ、日本最長各駅停車。次第にエスカレートする旅程もなんのその、気づけばダイヤに縛られる快感の虜……鉄道の楽しさが無限に広がる、新しい旅の仕様をご提案。

とあるが、著者はひたすら乗るだけであり、正直に書けば「新しい旅の仕様」など提案していない。いや、他人の作ったスケジュールにすなおに従って苦行するというのも「新しい旅」なのかも知れない。

[目次]
はじめに
メトロな女 東京の地下鉄全線完乗16時間22分
鈍行列車の女 24時間耐久 1343.9km
秘境駅の女 「鉄子の旅」同乗記
(相互乗り入れ企画!?)「鉄子の旅プラス」菊池直恵 酒井順子さんと水のある風景を求めて
膝栗毛な女 東海道五十三乗りつぎ
トロッコ列車の女 紅葉独り占め京都「鉄学」の道
9to5の女 根室本線 宮脇俊三さんに捧げる寝ずの旅
廃線跡の女 日傘片手に北陸本線旧線を歩く
こだま号の女 東京〜博多10時間半
スイッチバックの女 信越本線・篠ノ井線「スイッチバック銀座」
旧国名駅の女 四国巡礼「お線路さん」の旅
(おまけ)鉄と油の二泊三日 九州一周揚げ物紀行
    *
徐行列車のふたり 秋田周遊車窓対談 原武史×酒井順子
あとがき

この本の企画がどの様にして決まったのかは良く判らないけれど、出版界一の鉄人・T氏こと新潮社の田中比呂之氏の作るプランに従ってK嬢こと小林由紀さん(おそらくこの方が一番辛かったはず)とともに著者がひたすら鉄道に乗るという内容である(一部例外あり)。

鉄オタであれば必見となる様なものに目もくれず爆睡し、特に何も思い入れの無いかの如く冷静な筆致の著者の在り方が純粋な(?)乗り鉄たちからの不満を呼ぶのはある意味当然かもしれない。私自身は楽しく読んだのではあるが、読み終わってみれば、特に印象が残らない。ただ、判ったことは数分程度の乗り継ぎ時間しか無いというこの種の鉄道旅はダイヤ通り運行するという日本の鉄道無くしてはできないであろうし、時として食事も取れないという悲劇が起こる。それでも淡々と実行する著者(とK嬢)の忍耐力は想像を絶するものであることは理解できた。

最後に私自身は「廃線跡の女」旅を体験してみたいと思う、他の旅は遠慮したいけれど(笑)。
(2024年2月11日読了)



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あやめAさんへ

aminouchiさん

あやめAさん、こんにちは。
リコメが遅くなってしまいました。お詫びいたします。

ただ、新しいコメントがあったと知らされて覗いてみたら、あやめAさんの最初のコメントと私のリコメが消えていて、なんとも中途半端なコメントがありました。

これはナビトモ事務局がメンテナンスなど何かしたのではないか、と問い合わせをしておりましたので返事が遅くなりました。

その答えを聞いて始めてしったのですが、ナビトモではコメントを消すとそのコメントに対してつけたリコメも一緒に消えてしまう仕組みだということでした(この仕組みには良し悪しがあると思いますが、私としては変な仕組みだと感じます)。

いずれにしても、一往復のコメントが消え去り、事務局ではどうしようも無いと言われました。

そこで、残されているあやめAさんのコメントの続きを知りたいと思います。よろしくお願いいたします。

2024/03/06 11:58:44

内田百閨@安房列車

あやめAさん

安房列車 列車私も読みました 文体や読め無い漢字があり 都度
スマホで検索する始末でsきた

2024/03/04 09:09:07

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