読書日記

『道連れ彦助』 <旧>読書日記1531 

2023年12月22日 ナビトモブログ記事
テーマ:<旧>読書日記


逢坂 剛『道連れ彦助』毎日新聞出版(図書館)

5月初めのころ、著者の『道連れ彦助 居直り道中』が評判だという話で図書館で借りられないか、と思い検索してみたら予約が数名すでにあり、その横に2006年出版のこちらもあったが予約は無い。できることであれば2冊続けて読みたいので前者を予約し、こちらは放置して前者が借りられそうになったら予約を入れるつもりでいた。

ということで6月29日に両方とも借り出すことができた。以下がネットでの本書の内容紹介である。

なりは素浪人だが、歴とした御家人の三男坊。権威や忠義が大嫌い、自分より弱い者には滅法強く、強い者には近づかない鹿角彦輔(かづのひこすけ)。そんな彦輔に道連れの仕事を見つけてくる藤八、蹴鞠上手のけちな金貸し・鞠婆など、個性豊かな面々が江戸を舞台に大活躍。コメディとシリアスが絶妙に合わさった傑作時代小説!

ということで「仇討ち千駄ヶ谷富士」「鞠婆」「地獄街道」「大目小目」「本懐を遂ぐや」「無残やな隼人」の6篇を集めた短篇連作集、であった。冒頭の「仇討ち千駄ヶ谷富士」で主人公の登場であるが、彦輔は友人の小人目付神宮迅一郎の仲介で、仇討ちの立会人になってくれ、という依頼により仇討ちの場所に行ったら彦輔自身が仇であったという構図。身に覚えの無い彦輔は相手の助太刀富永隼人と戦い、引き分けに持ち込む。「鞠婆」は登場人物のひとりである「鞠婆」こと弥生という金貸しのおばばの登場と彦輔とつながるいきさつ。再び富永隼人が対手として現れる。「地獄街道」は迅一郎の捕まえた殺人犯の護送を手伝う話で、「大目小目」はこれまた迅一郎の依頼で賭場に出入りする源田格次郎を脅して博打を止めさせる話。「本懐を遂ぐや」は初編の敵討ちの再来だが、話は意外な方向に変化する。そして「無残やな隼人」では富永隼人自身が仇持ちであることとその仇に刺される話。その他に長屋で彦輔食事の賄を引き受ける勧進かなめ、狂歌師でもあるが、扇師の仕事で生活している。また「目くぼ」の藤八は迅一郎の使う小者などが主要登場人物で、いずれの短篇も2004年〜2005年に雑誌「オール讀物」に掲載されたものである。

少し、設定に無理があるけれど、スピード感もある話で一気に読めた。なお、ここでいう「道連れ」とはいわば用心棒の様なもので本当に長旅をするものでは無い。
(2021年6月30日読了)



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