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読書日記
『レンブラントをとり返せ』 <旧>読書日記1436
2023年09月11日
テーマ:<旧>読書日記
ジェフリー・アーチャー『レンブラントをとり返せ』新潮文庫
ジェフリー・アーチャーはストーリーテリングの巧みさに定評があり、本作でもそれは発揮されている。
主人公はウィリアム・ウォーリックという警察官。父は高名な弁護士であり、その跡を襲うことを期待されていたがその期待を裏切ってロンドン大学を卒業した後一介の警察官として巡査からそのキャリアを始める。
大学で美術を専攻とした彼は2年間の巡査としての勤務を終えたのち美術骨董捜査班に属することになり、名うての大物窃盗犯であるマイルズ・フォークナーの逮捕に尽力することになる。全体として美術館から盗まれたレンブラントの名画をとり返す話なのだが、その事件が縁でウィリアムに恋人ができたり、その恋人の父親の事件に関わったりもし、後半は二つの裁判(一つはフォークナー、もう一つは恋人の父の再審)が平行して同時に描かれる。
と書いたのだが、本書には裏と言うか背景がある。著者は近年「クリフトン年代記」シリーズ(第1部〜第7部まであり、各部が上下2冊、計14冊のシリーズ)を書いて人気を博したのであるが、その登場人物の一人ハリー・クリフトンがウィリアム・ウォーリックを主人公とした小説を書いて人気作家となったという記述があるらしい。このいきさつについては本書の「まえがき」で著者自身が書いているのであるけれど、実は私はこのシリーズは第1部しか読んでいないので、知らなかった。
言わば架空の話の実体化を著者は行おうとしている訳で、こうなると全4冊とされるこのウィリアム・ウォーリックのシリーズだけではなく、改めて「クリフトン年代記」シリーズも読まねばならないかもしれない。それが成るかどうかは著者自身が書いている通り、著者が長生きできるかどうかにかかっている。
(2021年3月9日読了)
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