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読書日記
『広重ぶるう』 読書日記250
2023年08月27日
テーマ:読書日記
梶よう子『広重ぶるう』新潮社(図書館)
いくつかの書評を読み、機会があれば読みたいと思って居た本と案外に早く出会えた。
帯の宣伝文句を書けば
「おれは、絵師としては半チクものかもしれない。
でもこの青を使った秘策かあるんだ」
武家に生まれた歌川広重は浮世絵師を志す。しかし、彼が描く美人画は「色気がない」、役者絵は「似ていない」と酷評ばかり。葛飾北斎と歌川国貞が人気を博するなか、鳴かず飛ばずの貧乏暮らしに甘んじていた広重だが、ある日舶来の高価な顔料「ベロ藍」に出会い−−。
ということで、この本は誰でも知っている「東海道五十三次」を描き江戸時代を代表する絵師である広重の半生記である。
ところで、本書の300ページに絵の格に関する話がある。神仏の世界を描くもの、あるいは史実に即したものが最上格。その次にくるのが人物や獣などを描いたもので、風景画は一格落ちるという話である。
風景画が一格落ちるのは動かないものを描くからというのもあやしい理由付けである。
しかし、これは本当にそのような格付けがあったのか疑問である。と言うか、17世紀から19世紀にかけての西洋画においては題材によるジャンル分けと格付けがあったことは確かである。それは歴史画>肖像画>風俗画>風景画>静物画というものであるが、上の格付けと似ている。うーん、穿った見方をすればこれは西洋画の格付けをもとにした著者の創作ではないかと感じる。
それはともかく、読み終わったあと、ネットで探して「東海道五十三次」を見た。なるほどこんな風にベロ藍を使っているのかとそのボカシ具合に感心した。
(2023年8月12日読了)
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