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読書日記
『吾輩も猫である』 読書日記245
2023年08月17日
テーマ:読書日記
赤川次郎など『吾輩も猫である』新潮文庫
2023年今夏の「新潮文庫の100冊」の中の1冊である。毎年、なにがしかのおまけが付くのでそれに釣られて買ってしまうが、この「新潮文庫の100冊」の内容は3割ほどが初回からたいてい含まれている本で5割ぐらいが既読または興味の無い分野。かくて、毎年、新しいものの中から苦吟しながら選ぶことになる。
私は猫なんだから、家事まではやってあげられない。
明治も現代も、猫の目から見た人の世はいつだって不可思議。猫好きの人気作家八名が漱石の「猫」に挑む! 究極の猫アンソロジー。
「ねね、ちょっと、私だって猫なんですけどぉ~。名前はまだ無いんですけどぉ~」夏目漱石没後100年&生誕150年記念出版! 明治も現代も、猫の目から見た人の世はいつだって不可思議なもので……。猫好きの人気作家8名が漱石の「猫」に挑む! 気まぐれな猫、聡明な猫、自由を何より愛する猫、そして、秘密を抱えた猫――。読めば愛らしい魅力があふれ出す、究極の猫アンソロジー。
と言う訳でこの本は夏目漱石没後100年&生誕150年記念出版! で漱石の「猫」を元ネタにしての8つの短編が収録されている。
収録作品は以下のとおりであるが、いくつかの作品の冒頭も書いておく。
赤川次郎『いつか、猫になった日』:心中で死んだはずの妻が猫に生まれ変わっての話
新井素子『妾は、猫で御座います』:「妾(ワタクシ)は、猫でございます。」と始まるがどうやら著者の何かのシリーズの中の1篇の体裁。
石田衣良『ココアとスミレ』:SFとも言える猫集会での不思議なお話。
荻原浩『吾輩は猫であるけれど』:著者は作家のはずが4コマ漫画です。
恩田陸『惻隠(そくいん)』:「ワタクシは猫であります」と始まる。そして作中で何回かこのバリエーションがかさねられる。
原田マハ『飛梅』:「俺は猫だ。名前だってちゃんとある。」と始まる。この話が元ネタを一番うまくなぞっている感じだ。
村山由佳『猫の神さま』:「あたしは猫として生まれた。」と始まり、男女のグダグダを眺める猫のお話。
山内マリコ『彼女との、最初の一年』:「あたしは猫。サビ猫(*)。名前なんてないわ、だってノラだもん。」と始まる。女子大生に飼われることになったメス猫のお話。
(*注:サビ猫とは黒と赤茶色が独特のまだら模様になった猫)
感想を書けば、傑作と言えるような短編は無いが、猫好きの人には良いかもしれない。アンソロジーの主題だから仕方のないことであるが、漱石の「猫」にこだわりすぎている感じがして、少しずつそれが鼻についてくる。そういう意味では冒頭の赤川次郎が期待を持たせた、新井素子も2番バッターとしてうまく繫いだものの、全体としては冴えない感じになってしまったようだ。
(2023年7月30日読了)
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