読書日記

『武士の流儀 四』 <旧>読書日記1382 

2023年05月22日 ナビトモブログ記事
テーマ:<旧>読書日記

稲葉稔『武士の流儀 四』文春文庫

元は風烈廻りの与力だった桜木清兵衛は、52歳での若隠居生活を楽しんでいた。もっとも、江戸期では50歳は充分な年寄りで「若」隠居とは言いにくいと思うのだが・・そうした中で清兵衛が首を突っ込む事件が「洗張屋」「うなぎ」「八百屋の倅」「拾う神」の4つ。

「洗張屋」洗い張りとは. 着物をすべて解いて反物の状態に戻して手作業で水洗い、糊付け、乾燥、湯のしをすることで、現在でも最高級の洗い方とされている。本編はどちらかと言うと、その洗い張りを語りたいのかもしれない話で、清兵衛がふと知り合った洗張屋の今吉とその妻おつるが請け負った着物が盗まれ、清兵衛が聞き込みをして解決する。

「うなぎ」は元大御番組の組頭であった奥平儀右衛門の話。格式の高い役目を務めてきたために威儀を正して生活してきたが、隠居した今もその癖は抜けない。そのために使用人たちも萎縮し、儀右衛門は常に市価ってばかり・・その儀右衛門が町で好物のうなぎを食べたが、うっかり財布を忘れてきて付け馬騒ぎを起こす。翌日、清兵衛はその話を聞き、さらに儀右衛門の使用人とも知り合って儀右衛門に興味を抱いて接近してつき合うようになるが、清兵衛は儀右衛門に忠告をし、儀右衛門もそれに応じて正確・行状を改めてめでたしとなる。

「八百屋の倅」はいつもの様に散歩に出かけた清兵衛は八百屋の前で親子げんかを見かける。親は竹吉と言って前は御家人であったが、御家人株を売って八百屋を始めた。息子は三郎。16歳。「親のいうことばかり聞いていたら、自分がだめになる」と叫んで家を出るが数日たっても戻って来ない。子供の時に竹吉が習わせた剣術に才があったらしく、どうやら、三郎は侍に戻りたいらしい。その三郎を清兵衛の息子である真之介が説得して改心させる話。

「拾う神」は清兵衛の妻の安江が「気になる女の子がいる」と話すところから始まる。その子はまだ13か14だが三つの仕事を掛け持ちし、そのどの仕事にも雇う側からの評判が良い。やがて、その子供はおふみと言い14歳で、母親のおせいが江戸患い(脚気)に倒れたためにお踏みの働きで親娘2人が食べているとわかる。そこへ、徳造と国次という2人の男が現れておせいが金を盗んだと因縁を付けてくる。その2人の言うことが怪しいとにらんだ清兵衛がことの決着をつけるのであるが、おせいは療養の甲斐なく無くなり、おふみは勤めていた旗本の家に入ることになる。

すんなり読める話ばかりだが、読み終えてみればどれもうまく行きすぎる様な感じもある。シリース4冊目ともなると、主人公の性格付けなどもこなれてきて著者も読者も慣れてくるのであるが・・物足りなくもなってくる。
(2020年10月15日読了)



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