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読書日記
『悪貨』 読書日記195
2023年05月09日
テーマ:読書日記
上田秀人『悪貨』講談社時代小説文庫
商人が急速に力を伸ばした元禄。大坂町奉行所同心山中小鹿はどう生き残る!?
という趣旨で始まった「武商繚乱記」シリーズの2冊目で、今や私は上田秀人の新刊となれば、何も考えずに購入する。
ということで本巻の内容紹介は
時は元禄、大坂では多くの商家が幅をきかせており、なかでも西国三十藩以上の年貢米を大坂へ廻送、
売る権利を持ち莫大な富を得て隆盛を極める大商家こそが、淀屋であった。
その淀屋に借金をする大名があらわれ、参勤交代の折には淀屋に寄って挨拶をするほどの力関係に至る。
幕府も商家がつけ上がるのを座視は出来ず、老中首座の土屋相模守が密命を下し、
目付の中山出雲守を大坂東町奉行の増し役(ましやく)に任じる。
大坂・東町奉行所の同心、山中小鹿(やまなか・ころく)は、上役の筆頭与力・和田山の娘を娶ったものの
妻の不貞を許せず少々手荒に離縁したのを理由に東町奉行所内で孤立していた。
中山出雲守は、気概あるはぐれ者の小鹿に目をつけて言い渡す。
「武家を金の力から守れ」と。小鹿は武士の沽券をかけ、権力を裏で操ることに長けた
上方豪商との争いに巻き込まれていく。
となるのであるが…本巻は目次の次に「元禄期の大坂」という地図が付き、次のページ(本文が始まる前)に主な登場人物として20人弱の名前が並んでいる。けれど、そのうちの初めの5人ぐらいは前巻にも登場していたので何となく覚えているが、他は見覚えなくどうやら本巻での初登場人物らしい…読み終えて見ると、この名前一覧には載らず、しかもこの先何やら絡みが生じそうな女性が出てくる(若い女性が主人公に興味・好意を持つ、というのはこの著者のパターン)。また、大坂の商人としか書かれていない堺屋太兵衛なる人物はある事柄(売り物ではない刀を手に入れようとする)を成し遂げるために小漉と手を結ぶのであるけれど、この人物も含めて一種の登場人物紹介の巻であった。
(2023年4月20日読了)
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