読書日記

『足軽小頭仁義』 読書日記1341 

2023年02月25日 ナビトモブログ記事
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井原忠政『足軽小頭仁義』双葉文庫

三河雑兵心得シリーズの3冊目である。前作で十年後に千石取りになれていなかったら首を差し出すと約定した茂兵衛であるが道は長い。本巻でひとまず足軽小頭に出世したものの、配下の足軽たちは一癖ある奴ばかりで頭が痛い。そんな新米小頭の悩みをよそに、事態は風雲急を告げていた。

甲斐の武田信玄が三万もの軍勢で国境を越えて侵攻してきたのだ。破竹の勢いの武田軍を止めるべく、家康は要衝にある二俣城の死守を命じ、茂兵衛率いる足軽隊も籠城することになり、話は「三方原の戦い」に進む。

ご存知の通り、三方原の戦いは家康が信玄に挑んだが鎧袖一触で敗れ、家康自身も九死に一生と言えるありさまで漸く助かった戦いである。茂兵衛も活躍するが、活躍と言っても負け戦での退却戦の話であり隠れていた家康とたまたま巡り会って、無事に戻れる様に手助けをしたり、その過程の中で敵の名だたる武将(と後で判る)を討ち取りその手柄をかつて惚れた綾女の夫の手柄とするなど相変わらずであるが、それでも家康に認められ騎乗の身分になり、今で言えば150石取りの武士にまで出世。さらに武田軍は撤退して本巻は終わる。

ところで本シリーズの第1巻『三河雑兵心得 足軽仁義』が出た時には既に第3巻までの予告があった。その予告通り順調に出版されてきたものの、そして話の運びからはまだまだ続編が出ると思われるが、帯に「早くもクライマックスの第3巻」とあり、続巻については何のアナウンスも無い。

著者は(おそらく)本シリーズが初めての著作と思われるが、続刊の執筆状況はどうなんだろうか。
続巻が出ることを待望するものであるが・・ただ、騎乗の身分となればもはや足軽では無い・・続編を待つしか無いのである。
(2020年6月20日読了)



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