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ほっこり
木登り爺(小話3題)
2019年09月12日
テーマ:小咄
○木登り爺さん
むかし、むかし、あるいなか町に爺様と婆様が住んでおったそうじゃ
残暑厳しい、とある年、秋の初めの昼下がりのことじゃった
まだまだ蒸し暑い日が続いておったんじゃが
そんなある日のこと
二人は縁側に座って庭を眺めておったそうな
「お爺さん、残暑が戻ってきましたね」
「はい、冷たい麦茶ですよ」
「婆さんや、わしゃ〜庭のあの柿の木が気になってな」
「小さな実がついてきましたね〜」
「見てごらん、あの枝がどうも気にいらんのじゃ」
「じゃ〜、庭師さんに頼んだら?」
「何言ってるんだい。昔は『木登り源ちゃん』て呼ばれたんだよ。わし、ひとりで出来るさ」
と、言ってお爺さんは脚立を取り出して柿の木に登った
「お爺さんは一度言い出すと人の話を聞きませんからねぇ〜、困ったもんですよ。はぁ〜」
お婆さんは夕食の下ごしらえで台所へと行った
そして、夕暮れとなり、巣に戻るカラスの鳴き声が聞こえてくるのに、お爺さんは戻ってきません
お料理に夢中だったお婆さんはお爺さんのことが気になりました
すると、何やら大声が聞こえてきます
「参った〜降参じゃ〜水ぅ〜」
お婆さんが庭に出てみると
お爺さんがあの柿の木の大きな枝にしがみついて叫んでいるではありませんか〜脚立は地べたに倒れています
「お爺さん、どうしたんですか?大丈夫ですか?」
「どうもこうもないわ。何で早く来んか、ばか者が!」
お婆さんは思わず笑ってしまいました
だって、おかしいんですもの
お爺さんの着物ははだけ
ふんどしの白い布が
風になびいて、ひ〜ら、ひら♪
「降参の白旗ね」
そして、腐りかけたものが
風にゆられて、ぶ〜ら、ぶら♪
お婆さんは思わず言ってしまいました
「お爺さん、干し柿の季節はまだまだ先ですよ!」
お婆さんは脚立を立てて、無事、お爺さんを助け出しました、とさ・・ めでたし、めでたし
○茶色の悪魔
私は仕事帰り、いつもの駅で降りた
自宅までは5分程の距離だ
雨は土砂降り、道は舗装されていない
とにかく、家路を急いだ
傘がない、ずぶ濡れだ
ざ〜ざ〜と雨が地面を容赦なく叩きつける
そんな中、何かが私を追い続ける
気配を感じるのだ
しかし、振り返っても誰もいない
でも、何かが私につきまとわっているのを感じる
ずずずっ、ずずずっ〜
聞こえてくるのだ
やっと、自宅の玄関に入った
妻が言った
「お父さん、靴の後ろに茶色の布が見えますよ」
しまった!
締めていたふんどしが落ちているのに気づかず引きずっていたのであった・・
雨土で汚れたふんどし一丁
スーツ姿でズボンの下から垂らして引きずってきた、自分のふんどしがそこにあった!
(※実話です。父が笑いながら語ってくれました。私が赤ちゃんの頃です。それ以来、父は縞柄のいわゆるガラパンに替えたそうです。この父親にしてこの子あり!)
○無重力
私はその夜残業、疲れた足取りで最終電車を待った
やっと、ホームに最終電車が着いた
そして、最初の一歩を踏み出した
その瞬間、無重力を感じた
一瞬だが「ふわ〜っ」と宙に浮いた
次の瞬間、右脚は股の付け根まですっぽりと
電車とホームの間に沈みこんでいた
「電車とホームの間には隙間があります。皆様、足元にはご注意ください」の放送が聞こえてきた。
(※実話〜京都、阪急西院駅での出来事です)
♪Shadow of the Moon〜Blackmore's Night(英詞)
https://www.youtube.com/watch?v=3_pzbTGmKLc
ドラちゃん話に使いたかった妖しい歌
英国人好みのインド音階♪かな?
★「棲み分け」に拍手、コメント頂いた皆様、ありがとうございました。争いが好きな人はいません。それぞれの好きな分野で切磋琢磨しましょう!
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ほのさんへ
コメントありがとうございます。
誰にも何らかの失敗談義はあるものですね。
恥ずかしいから書かぬか平気で書くかの違いでしょうか?
電車の扉の話〜いいお話ですね〜
微笑みましたよ
だれにもある、親子の秘密話です
拙ブログ、時々でも又お立ち寄り頂ければ光栄に存じます
2019/09/19 19:08:20
思わず声を出して読みました(笑)
こんばんは
面白ろそうなお話で、
こんばんは孫達に話して聞かせて
あげょうかと
声を出して読んでました。
読み聞かせの練習のつもりです(笑)
?途中から、これ読み聞かせて
よかんべかと・・・(笑)
私の実話もありまして(笑)
欲張りな私は
電車を待ってる時に
あれ?おとうちゃんはあっちのドアから
電車に乗るようだ。
おかあちゃんと繋いでいた手を
おとうちゃんと繋ごう♪
おとうちゃんと繋いだけど
ふと見ると、おかあちゃんが
寂しそう。
やっばり、おかあちゃんと手を繋ごう
と思ってるの内に
電車のドアがしまって、
電車は行ってしまいました(笑)
残された私を
見つけた母は
其処から動かないでね〜って
大きな声で叫んでいました。
母が一つ先の駅から
引き返して来ました。
一言も怒られませんでした。
母に、逢えて良かった。
ドンドハレ(昔話の終わり方です)
2019/09/18 18:30:28
漫歩さんへ
狐と狸の化かし合いのような問答になりましたね
さすが、古狸(漫歩さん)〜狐の手の内はお見通しだったですね(笑)
年の功のなせる技、恐れ入り谷の鬼子母神
「干し柿・・云々」おっしゃる通りです。
負けました〜降参〜白旗〜ジャムはアオハタ印
2019/09/12 18:30:20
ピコチャンさんへ
ホント、あと一歩「足送れ!」でしたよ
いや〜、ホームに数人でしたから誰も気づいていませんでした
あの時、一番気になったのが靴を線路に落としていないか?でした
冷や汗ものでした・・あ〜恥ずかしい!
2019/09/12 18:25:53
釈明・意味不明の言
「意味不明の言」とは他の読者えの目くらましのつもりでした。
ぼてさんの企みをずばり解説しては紳士漫歩として些か躊躇いがあったのでタイトルは常識的に〜。
「お爺さん、干し柿の季節はまだまだ先ですよ!」私の深読みだったのかなぁ。(笑)
2019/09/12 17:51:11
想像の世界
月あかりさんへ
食事中に「腐りかけたもの」のフレーズを読まれたのですね。大変、失礼致しました。
フィクションの世界〜なるべく言葉少なめにして読み手の想像に後を託すと言いますか、一度書いたものは書き手の手を離れます。
漫歩さんへのお返事の如く「腐りかけたもの」は、両足をばたつかせていたお爺さん自身の「つ・も・り」だったのですが・・・
意味不明とは何か別のものを想像されましたか?
それでいいのです。
「お主も我が術中にはまったのう〜」(笑)
2019/09/12 11:48:51
腐りかけていたのは
お爺さん自身です。
だって、あんなに自信たっぷりに言って木に登ったのに足場が落ちて下りるに下りれない
気持ちが腐りかけてしまって、気落ちして(木から落ちなかったけど)、両足をだらりと、ぶ〜ら、ぶらさせながらお婆さんの助けを待っていたんですから・・
漫歩さん、ご理解頂けましたか?
2019/09/12 11:02:37