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吾喰楽家の食卓

三人の新真打 

2019年07月07日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

この春、落語芸術協会(以下芸協)では、三人の真打が誕生した。
新真打三人と、彼らの師匠三人が、国立演芸場の金曜日夜席に一堂に会する。
開口一番の前座は立川幸太(吉幸の弟弟子)と、口上の司会を務める二ツ目の瀧川柳若(鯉斗の弟弟子)から始まる。
その後は師匠の三遊亭圓馬、立川談幸、瀧川鯉昇の順に高座へ上がる。
中入り後は口上から始まり、新真打の立川吉幸、橘ノ双葉改メ三遊亭藍馬、瀧川鯉斗の三人が登場する。
なるべく夜席は避けているが、コストパフォーマンスがいい、この日を選んで良かった。

三人の師匠の競演は、見応えがあった。
何れも、お馴染みの古典落語を口演したが、優劣は付け難い。
それでも、一番芸歴が長い鯉昇の『粗忽の釘』が、一番完成度が高いように思えた。
「話が面白いと、普通に喋っても面白い」というが、その見本のような語り口であった。
以下、新真打について、出演順に記す。

■立川吉幸
噺家は、順調に行くと、入門後15年前後で真打になれるが、吉幸は22年を要した。
元々、立川流に所属していたが、4年前、師に従い芸協へ移籍し、前座からやり直した。
それでも、移籍後4年で真打に昇進したことは、それまでの経歴が評価されての事なのは言うまでもない。
非常に遅い昇進だが、芸協の序列では、30人抜きに近い。
前座や二ツ目が、よく高座に上げる『真田小僧』を口演したが、安心して見ていられた。
飽くまでも想像であるが、控えめに演題を選んだのではないか思う。

■三遊亭藍馬
『皿屋敷』を、口演した。
お化けのお菊に、ギャル言葉を喋らせた。
古典落語を今風にアレンジすることは、悪いと思わないが、非常に違和感を覚えた。
落語の出来不出来を言う前に、私はギャル言葉が嫌いだ。

■瀧川鯉斗
『紙入れ』を、口演した。
登場するのは、間男の小間物屋新吉と、得意先の旦那と新造の三人だけ。
旦那が新造を呼ぶときに、「新吉!」と、言い間違えた。
間違いはベテラン噺家でも偶にはあるが、新真打の対応は悪かった。
「新吉!」と呼んでしまったら、「新吉は、お前だったな。間違えた」などと、旦那の台詞で言い直せば良い。
それも影響したのか、折角の持ち時間30分を、5分も余らせて、高座を下りた。
少し過剰ではあるが、新造が醸し出す色気の表現は悪くないから、今後に期待したい。
真打昇進はゴールではなく、スタートだと改めて思った。

   *****

写真
7月5日(金)撮影:国立演芸場(玄関・演題)



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