気紛れに 言の葉揺らす 風になる

ー2個の饅頭 

2019年07月06日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し

小学校では「足し算」に続いて「引き算」を習う。ある数から別の数を引くには、まず、 一番下の桁の数で引き算をする。引く数が引かれる数より小さい場合は問題ないが、そうでない場合には、上の桁から10を借りてきて引かれる数に加えてから引き算をする。このような借りを考慮しながら順に上の桁に進む。原理的には、19までの数から一桁の数を引くことができれば任意の桁の引き算をすることができる。しかし、引き算は足し算ほど単純ではない。そもそも引く数が引かれる数より大きな場合はどうするかで揉めるからだ。6つの饅頭がある饅頭屋に、客が来て2つ買いたいと言う。店員は6つのうちから2つを取って客に売ることができ、残りの4つが店に残り、何も問題はない。しかし、次に来た客が、饅頭を6つ欲しい、と言うとかなり深刻な問題が起きる。「おっさん、今、饅頭は4つしかあらへん」と言った後、ナニワの饅頭屋の店員には、次の3つの対応が考えられる。 (A)「6つは売られへんでー]と一つも売らない。 (B)「4つだけ売ったるわ」と4つだけ売る。 (C)「とりあえず今日は4つ、残りの2つは明日渡すわ」と6つ分を売る。この問題は、そもそも、引く数「6」が引かれる数「4」よりも大きいから起こる。(A)は、全うな計算はできないと引き算自体を全面的に否定するもので、(B)は、とりあえず引ける分だけを引けるように引く数を調節するするもので、(C)は、強引に引き算をして現実には存在しない負の数を作るものだ。(A)か(B)の場合なら話は理解し易い。しかし、(C)の場合はそう簡単には理解できない。負の数などという非現実的な数を考えなければいけないからだ。負の数の饅頭をテーブルの上に置いて見ることはできない。「ほら、ここに−2個の饅頭があるでぇ」と言われても、俄には信じ難い。もし、5個の饅頭をそこに置くと、あっという間に2個が消えて3個の饅頭がそこに残るのならば、ま、信じてもいい。しかし、まだ、そういう現象を実際には見たことがないから、負の数の饅頭をテーブルに置くことは不可能なのではないかと思っている。(C)の場合には、店員は6個分の代金を受取るが、4個しか饅頭を渡さない。その時点で、店には−2個の饅頭が残る。客は6個受け取ったつもりで、実際には4個しか受取っていないので、2個足りないという不思議な状況が発生する。翌日、店で饅頭を仕入れて、−2個残っている所に2個の饅頭を置き、前日の客を待つ。客が来たら、「おっさん、饅頭が入ったでぇ。ほら、2個渡すわ」と言い、その2個を代金を受け取らずに客に渡す。これでやっと前日からの不思議な状況が解消される。単純な饅頭の売り買いだけでも、こんな不思議な状況が発生する。それが、何十人、何百人、何千人、何万人が、同じような売り買いをし、物が右から左へ動くのと同時に負の数も左から右へと次々と動く。その辺にあるテーブルには数限りない負の数の饅頭、煎餅、ショートケーキ、カフェオレなどが置かれているはずだ。それだけたくさんの負の数があるのだから、自分で買ってきた饅頭をテーブルに置いた瞬間にいくつか消えてしまうこともひょっとしたら起こるかもしれない。饅頭が食べられないのは残念だが、負の数が実在することを見たいという好奇心は抑えられない。 2019−07−05

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