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むぅびぃ・とりっぷ
こんなサスペンスあり?「聖なる鹿殺し」
2019年01月06日
テーマ:テーマ無し
明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします。 正月は、いつものように実家の青森に帰って家族マージャンと温泉と飲み食いの日々。そしてテレビでは、映画番組を録画して、なぜか多かった西部劇ばかり見ていた。その中でも、重くてやぼったい棺桶をずるずるひきずりながら、世をさまよう流れ者を演じたフランコ・ネロ主演の『続・荒野の用心棒』は、けっこうぼくの壺に入った。大勢の敵に囲まれ、絶体絶命の状況の中で、その棺桶から取り出すものが主人公以上の大活躍をする。その痛快さ。カッコ悪いのを我慢しながら引きずってきたかいがあるというものである。『なんでこんなに面白いパターンができている西部劇が廃れてしまったのだろう?』などと思いをはせて見ていた。ところで、西部劇ばかりみていた反動か、埼玉に帰ってからはむしょうにサスペンスが観たいと思い、 ヨルゴス・ランティモス監督の「聖なる鹿殺し」をレンタルしてきた。去年、劇場公開された作品で、雑誌でもネットでも、けっこう話題になっていた映画だ。 カフェオレを飲みながら映画を観始めると、いきなり心臓の手術の場面。白い心臓がばくばく動いているのが皮膚を切り開いた間から見えてて、赤い血で染まった手術の手袋をゴミ箱に捨てる。「うわ!カフェオレの味がまずく感じる」というぼくの想いを乗せて映画は始まった。顔の下半分がひげだらけの外科医の一家のお話しで、その「ひげもじゃ先生」の奥さん役にはニコール・キッドマンが演じている。キッドマンがちょうど50歳のときの作品になるが、彼女のプロポーションの良さは健在で、さらに劇中の子どもは男の子と女の子でどちらも美形。特に女の子は、そばかすが多いものの、中世の絵を思わせる透明な美しさ。日本でも橋本環奈にそっくりと話題になった美少女とのこと。ひげもじゃ先生が、手術したなかに酔って手術をして、中年男性の死んでしまった患者がいた。その患者の息子である少年・マーティンを不憫に思い、何気に接触しているうちに、自分の家族にどんどん侵略してきて気がつくと、マーティンに一家の生死を握られている状態に陥る。マーティンは、ひげもじゃ外科医に宣告する。「家族のうち誰か一人を殺さなければ、全員死ぬことになる」と。実際、身体を調べても何の異常もないのに、まず息子が歩けなくなり、食べれなくなり入院することになる。次に娘も同じ状態になる。娘も息子も移動が赤ん坊のように、はいはいの状態になってしまうのだ。でも物語の途中でぼくも妻も気がついた。「これは話が納得いく形ではまとまらないぞ」と。不条理劇と言う名の、なんでもありの状態だ。サスペンスというジャンルを飛び越えて、推理するのも意味がない状態だ。ということで、物語はつまらなかったかというと、実はけっこう笑いながらこのドラマを楽しんでいた。なぜなら登場人物がみんなヘンだから。ひげもじゃ先生は、学会のパーティ会場で友人に、「娘には先週、初潮が」という話をする。ここでぼくは違和感を持った。ぼくにも年頃の娘を持つおとうさんの友達が何人かいるが、こんなことを話題にする人に会ったことがない。『国民性の違いか?』と思いながら見続けるとこの場面だけではなく、違和感を覚える場面が後で何度か出てくる。ひげもじゃ先生は、息子の秘密を聞くために、自分の秘密を打ち明けるのだが、その話が”寝ている自分の父親の性器にふれていたずらをした話”を息子にする。(詳細は映画を・・・)これはなかなか気色悪くてありえない話し。それと、何の呪文かしらないけれど、ひげもじゃ先生は一家の危機を救う方法として”子ワニの歯とハトの血と処女の陰毛”を日没前に燃やせばいいという提案を奥さんに伝え、『歯はどこにある?陰毛はどこだ!』といいながら、妻の見守る前で、食器を壊しながらとち狂う場面もある。これなどは口あんぐり状態。奥さんは、ベットでお気に入りの下着姿で大の字になって体をだんなさんに披露する。それも、頭がベットの外にあるので、その態勢だと血が頭のてっぺんに下がり、苦しくないかとぼくは見ていて気が気ではなくなった。中盤に、今度は全裸でそのシーンが出たときにはおもわず大笑いしてしまった。このへんな女性の受け入れスタイルは、監督の好みなのか? また、だんなの「ひげもじゃ」が気になったのはぼくだけではない。ベットで大の字の奥さんの身体に接吻する場面でうちの奥さんは「あのひげでのキスはイヤ!」と、のけぞっていた。 それだけではない。一家に呪いをかける少年・マーティンの母親は、自分のだんなを殺したかもしれないひげもじゃ先生の『白い手』が好きだという。マーティンは、いやがる先生を夕食を兼ねて家に招待する。3人で食事の後で映画をみていたのだが、なぜか、そこはとても物分かりのいいマーティンは、「先に寝るよ。途中で抜けてごめん」と言って、上に上がってしまう。二人きりになった場面で、マーティンの母親は突然、お気に入りの先生の手に接吻して口の中に指を入れてしゃぶるように嘗め回す。これはまた驚きの展開。さすがのひげもじゃ先生もこれにはドン引き。あまりに突拍子もなくてぼくは苦笑い。 この映画、ぼくにはサスペンスではなく「新春初笑いのバラエティ」のような映画となってしまった。それで、途中で危惧した通り、なんだか解決したといえないもやもやした何かを残し、この映画は突然、幕を閉じるのであった。PR:聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア [DVD]
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