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カシアス

姉の家庭教師 

2018年07月22日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

私が小学生の時、中学生の姉の家庭教師として、
現役の東大生が来ていた。
英語や数学を週に3回くらい教えてもらうのだが、
一緒に食事をし、諸々の相談にも乗る、
頼れるお兄さんだった。

彼は典型的な文武両道で、野球部の中心選手、
ずっと1番ショート、関東六大学リーグでは、
それなりの成績を残している。
当時の六大学リーグは立教に長島がいたりして
人気だったから、時々テレビ中継もされていた。

体型は、特別に大きくはなく、どちらかと言うと細身、
感情を露にするような事はなく、
淡々として気負いも衒いもない。
母はそのへんが気に入っていたようで、
姉が無事に入試を終えた後も時々家に招き、
彼も気軽に訪れて食事し、
たまには私のキャッチボールの相手もしてくれた。

中学生のときに、彼に駒場祭(東大の学園祭)に
連れて行ってもらったがある。
今思えば、中学生の男の子の案内など、
さぞつまらないだろうとは思うが、
そんなそぶりも見せず、丁寧に案内してくれた。
母は、姉を好きだったのだろうと言うが真偽は不明。
当家とのお付き合いは仏文科の博士課程を
終える頃まで続いたが、その後フランスに留学し、
帰国後は大学教授となり、今は文筆業をしている。

余談ながら、後年、東大に入った次男の空手演舞会を
見ようと、駒場祭に行ったことがあるが、
中学生の自分を連れて歩いた彼を思い出し、
息子の空手演舞を見ている今の自分を思い、
四十年の年月が、長くにも、短くにも思えて
感慨にふけったものだった。

彼、海老坂武氏は、私より13年上だから、
現在84歳、ずっと独身、フランス文学、
特にサルトルの研究者、翻訳が多いが、著書もある。
「戦後が若かった頃」「かくも激しき希望の歳月」
「祖国より一人の友を」
など真面目なものが大半だが、三十年前に、
軽いエッセイ風の「シングルライフ」が当たり、
ベストセラーになった。

「シングルを続けてきた僕にとって
さびしさはまったくない。
もともとさびしさや弱さを自覚したところで
出発したわけだから。」
だそうだ。



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素粒子は

カシアスさん

物理学とは関係なく、わけのわからない物語です。
如何にもウェルベックらしいのですが・・・
因みに・・・7+8は15だったかと。

2018/07/26 20:01:30

そうですか

さん

読んでみます。

「素粒子」って物理系のような感じですが、7+8が13の私の頭でも読めるでしょうか?

2018/07/26 13:00:39

ウェルバックは、

カシアスさん

そんなことはないと思います。
書評を読みましたが、あれでは「服従」を読む気にはなりませんね。フランスのみならず、ヨーロッパでベストセラーになり、当時、日本の作家(女性を含む)の間でも評価の高かった本です。

2018/07/26 07:30:17

怖くなっちゃって

さん

http://d.hatena.ne.jp/souheki1009/20151030/p1

上の書評を読んだら、ウェルバックさんて、女性を憎んでいるようで、、、。

2018/07/25 11:06:39

私は

カシアスさん

彼の影響もあったのか、高校3年の夏まで
文学部志望でしたが・・・
能力は、どう見ても数学・数学に向いていると、
考え直して理系に進みました。

最近読んだフランス物では、ウェルベックの
「服従」「素粒子」などがまあまあ・・・かな。

2018/07/22 21:10:36

う〜ん

さん

 海老坂武先生ですか。存知あげなかったです。

 けど、野球で仏文てユニークですよね。東大が万年最下位なので、他大学はもう、東大様様でしたもの。 ありがたいことでした。

 わたしの知ってる翻訳者は「上田敏」さんで、ちょっとふる過ぎですね。 でも、1960年代以降のパリは学生運動のメッカで、苦手ででして、、、。

 
 海老坂さんにとっては、絶対、姉上が初恋の人だと思います。フランス式恋愛は、初恋の人を死ぬまで想い続けるんです。

 もし、海老坂さんが、今、カシアスさんの姉上に再会したら、泣くと思うな。
 
 それがフランス式なの。

 こんど、ご本、読んでみます。

2018/07/22 18:38:40

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