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カシアス

家を買う 

2018年02月24日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

我々の若い頃、家を建てるのは、
サラリーマン人生では最大の一大イベントだった。

当時、31歳だったからもう40年程前・・・
分譲の団地(マンション?)に住んでいたが、
次男が誕生して、手狭になり、一戸建てをさがし始めていた。
我実家にも妻(今の監視人)の実家にも近く、
住み慣れた田園都市線沿線を探して、
T電鉄の友の会なるものに入会していた。

正月の2日に、年賀状に紛れて友の会から一枚の葉書が来た。
最寄り駅はあざみ野で、100戸の建売分譲をする。
ついては、今日から申し込みを受け付け、
先着順に優先権がある、とのこと。
ただちに現場に行くと、裏が山になっていて、緑が豊富だし、
街全体の調和がとれていている。
交通の便もまあまあ、サラリーマンが買うには恰好の物件だ。

そのまま、隣駅の販売センターに行き、分譲全体のレイアウトと、
各戸の大雑把な価格が書かれたものを受け取り、
購入希望者の登録をしたが、なんと2番だった。
友の会様様だ。
相当な人気だったようで、100戸の分譲に対し、
結局400人ほどの申し込みがあった。

分譲地の中央あたりの一番よさそうなところに、モデルホームがあり、
そこだけ、建物が完成していて、見学に対応している。
土地も広めで建物とのバランスも取れているし、
東南の角地で日あたりもよさそう、第一候補だ。
更に2,3日後に、新聞に大々的に広告が出された。
第一候補のモデルホームのイラストが大きく描かれていて、
ここは何千何百万台ですと、大凡の価格が書かれており、
予算の範囲だ。

数日後、正式の物件説明書を受け取る。
各戸の敷地と建物の平面図が、詳細に書かれている冊子と、
価格の一覧表だ。
ところが、おかしな事に、欲しいと思っていたモデルホームは、
平面図はあるし、一覧表にも載っているが、
関心の、価格欄が空欄だ。
おかしいなと思い、T電鉄に電話したら、
モデルホームは売らないと言う。
パンフレットにも新聞の広告にも載っているのに
売らないのはおかしいのではと、
いくら粘っても、売らない、の一言だ。どうにもならない。

仕方がないなと半分諦めかけたが、いい気分ではない。
だめもとで、公正取引委員会に電話した。
不動産取引の担当という人に、詳細を説明し、
T電鉄は、法的に問題があるのではないかと、聞いた。
担当者は、その通りなら違法だ、というが、
では、どうすればいいのかと聞くと、その広告とか、販売用の冊子とか、
価格表とか、全ての証拠をそろえて持参してくれれば、考えるとか。
当時の公取委の陣容では、この程度の事は、
マンパワーを割くほどでもない、ということらしい。

あてにならない、公取委と話しても仕方がないが、違法であることは、
間違いないので、T電鉄に指摘しようと思い、電話した。
「どうしても売らないのか?」
「はい、売りません。」
「あの新聞広告では、売ることになっているではないか?」
「いえ、売りません。」
「広告と実態が違うということは、独禁法違法だと思うが?」
「・・・」
「では、公取委に確認してみる。」

2日ほどたったころ、T電鉄から電話があり、
結局、売る事になりましたとのこと。
騒がれたら面倒なことになるかもしれない、
ここは穏やかに収めておこうといったところだろう。
その後あの家には20年余り住み、
我人生の一時代には欠かせない大道具だった。



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