愛しき友へ(積年の暮夜気と刹那の歓喜を共に)

京都で長く暮らした者の悲劇 

2017年12月24日 ナビトモブログ記事
テーマ:海外旅行

二本平行に道があれば、適当な所で繋ぎの道があるものと信じている。

それを疑わない。
しかし、そこは違っていた。いくら行っても交差点がない!
所々に露天の食堂や唐揚げなどが売られていた。
腹も鳴き出すほどに減っていた。
食べようかと、本気で思ったが、、
ダメだ。食べる気になれない。
あたり一面ただならない臭いが立ち込めているからだ。
何の匂いかと言えば、反吐の臭い。
人々はその臭いに慣れているのだろう。
腐った臭い、反吐を吐いた時の臭い。

その悪臭の原因が分かった。
パッカー車(ゴミ回収車)がしきりに走っている。その他、数々のゴミ回収所。
バンコクのゴミが全て集められている所とみた。
パッカー車が大集合している所もあった。
それらを眺めながら、あとは意地で歩いた。必ず他の道へ抜けられるはず、と。

戻る気にはなれない。
苦しんで通って来た道を、もういちど通るなど、できるはずがない。
やがて、その広い一本道は先細りしながら、遂に終わってしまった。

戻るより術はないのか?
野犬が何匹も吠えながら寄ってくる。
ナビで現在地をみるのだが、ナビにも道がない!
地図に載っていない道を来たのだ。
そのどん詰まりの所で、前方を見ると、車の通った後がある。
車が通っていると言うことは、何処かに抜けられるはず。

その期待も潰えた。その先はゲートに成っていた。
開いたゲートを進んで見ると、そこは農道だった。木屋が一つ。鶏や豚が飼われていた。

万事休止。
途方に暮れていると、一台の車がやって来た。
地図を見せながら、お互いに分からない言葉でやり取りをした。
そして、遂に抜けかたを教えて貰えた。前方の家を突き抜けて行け!そうすれば、汝の行きたい所へ出られる!

その家は、陶器業者だった。家の中庭を通る?屋敷内を?
他に方法はない。泥棒ではないのだから、中を通らせて貰おう!

家人に咎められた。
通して!と頼むと。ダメ!
更に頼むと、亭主が現れた。
そして、家の反対側へ行け、と指差した。
屋敷の反対端で、そこも家の中だった。
植木や家具、陶器等の並んだ脇を通って行くと??
バナナ畑の出口?入口に、、
さらに進むと、おおっ〜、運河?小川?
その壊れそうな橋に出た!
物凄い急斜面の橋だった。幸い手摺が付いていて、その手摺にすがって橋を登り、運河の脇の人道へたどり着いたのだった。
方向は良し。

それにしても、あのゴミ街道は何なのだろう?
入口が一ヶ所だけ。外部と隔絶された世界だった。
運河沿いに所々に家があった。店を営んでいるのもある。
その一つの店で、鉄道の駅へ行けるか尋ねると、行ける!と。

その男がペットボトルの水を飲んでいた。
値段を聞くと、10バーツ。
ホテルでは 25バーツだ。一本頼んだ。男は、金は要らないという。
それはがえんじられない。20バーツ札を渡した。
飲んだ水の美味しかったこと!
お釣りの10バーツで、もう一本頂いた。
小さな女の子が二人、それと老婆がいた。
女の子が「ワッチャネーム?」と言う。
「アイアムネーム、クメ」
と、答えると歓声を上げて喜んだ。
老婆に寄り添い、老婆も笑顔だった。
年寄りを初めて見た。
こんな所で、一家を養えるのだろうか?
子供たちにお金をやろうか、それは、失礼か、等と考えあぐねながら、笑顔でバイバイをして、細い川沿い道を、二本杖で歩き続けたのだった。

続く



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